「実は皇室のティアラは・・・・」明治20年から受け継がれる輝きの歴史を振り返る

聞き手 フジテレビアナウンサー島田彩夏

カテゴリ:国内

  • ご即位を祝うパレードで夕陽に映え輝いた皇后雅子さまのティアラ
  • 歴史を振り返ると、伊藤博文の時代に遡ることが判明
  • 第一、第二、第三ティアラ、その違いを探る

明けましておめでとうございます。令和も2年目になり、「れいわ」もすっかり言い慣れてしっくりきたように感じます。

令和元年、昨年の御即位を祝う祝賀パレードではフジテレビも特別番組を構え、沿道の11万9000人もの人々から祝福を受けられる天皇皇后両陛下のお姿を伝えました。私はお台場のスタジオで全体の司会を務めさせていただいていましたが、やはり皇后雅子さまの晴れやかな笑みに心がなごみましたし、その美しいお召し物に目を奪われてしまいました。

なんといっても晩秋の夕日を受けてきらめくあのティアラの輝きは忘れることはできません。

かねて皇室のファッションについてもっと知りたいと思っていたところ、フジテレビ皇室取材班のベテラン渡辺ディレクターが、 「島田さん、元日に両陛下がお出ましになり、皇后さまはティアラも付けられるのでは」と教えてくれました。

「実は皇室のティアラはね・・・」と、ベテランディレクターが教えてくれるティアラにまつわるエトセトラがまさに「へえ~~~!」の連続です。

「新年祝賀の儀」で女性皇族方が着用されるティアラ

今日このあと午前10時からの「新年祝賀の儀」では皇后雅子さまをはじめ女性皇族方は皆さま正装でティアラを着用されます。そこで、今日は改めて目からうろこの皇室とティアラについての歴史やうんちく、そして雅子さまの最近のご様子についてそれぞれの担当記者に聞いてみました。
(聞き手はフジテレビアナウンサー 島田彩夏)

2019年1月1日新年祝賀の儀でティアラを着用される女性皇族方

ーー(島田アナ)そもそも女性皇族はなぜティアラを付けられるのでしょうか。

渡辺ディレクター:
明治時代、ヨーロッパ諸国との外交関係を深めたかった伊藤博文の時代にさかのぼります。宮中の服と儀式両方の国際化が必要と考えた伊藤博文初代内閣総理大臣がすすめ、そのときに決められたものがベースになり今に続いているんですよ。

大礼服姿の昭憲皇太后、ティアラに輝く9つの星は取り外し可能

明治19年(西暦1886年)のことだと言いますから、もう134年も前なのですね。伊藤博文総理は宮内大臣も兼務していたんですね。

渡辺D:
明治19年に定められた「婦人服制」というものがあります。そのなかで「女子の大礼服はマント・ド・クール、中礼服はローブ・デコルテ、小礼服はローブ・ミーデコルテ、そして通常礼服はローブ・モンタント」とされました。そして権威の象徴としてティアラと首飾りは欠かせません。

ーーティアラと首飾りは権威の象徴なのですね!それにしても細かく決められているのですね。

渡辺D:
この資料を見てみて。明治22年に元老院に提出された内部資料です。それによると「マント・ド・クール」は新年式に着用する大礼服で、長いトレーン(引き裾)があり、長手袋、ティアラ、勲章をつけています。

元老院内事部書類( 所蔵:国立公文書館)
元老院内事部書類( 所蔵:国立公文書館)

ティアラが最初に製作されたのはいつ?

ーーここでもうすでにティアラが登場していますね。すると「婦人服制」制定からすぐにティアラは作られたんですね?

渡辺D:
明治20年(1887年)2月11日の東京日日新聞に掲載された記事によれば、皇室がベルリンの御用金工師レオンハード&フィーゲルに命じて、皇后のティアラと装身具一式を製作されたとしています。代価は数万円。

東京日日新聞 明治20年2月11日

ーー数万円・・・どのくらいのものなのでしょうか?

渡辺D:
そのころの総理大臣の年俸が9,600円。各大臣の年俸が6,000円。鹿鳴館の総工費が18万円という時代の数万円ですから・・・。

ーー相当高価なものなのですね、ふう~(ため息)。

渡邊D:
ティアラはブリリアント型のダイヤモンド60個を使い、9つの星を戴くデザインで、中央には21カラットのダイヤモンドが輝いています。9つの星は取り外して髪飾りとしても使えます。そして装身具一式には、140個の宝石を組み合わせたネックレスと純金の腕輪がふくまれています。この大礼服の総額は13万円でした。

「A型」「B型」と区別されるティアラ

ーーふーーーう(さらに深いため息)。そのティアラがいわゆる「皇后陛下の第一ティアラ」なんですね。

代々受け継がれている皇后陛下の第一ティアラ(左から:昭憲皇太后、貞明皇后、香淳皇后、上皇后、雅子さま)

渡辺D:
そう。でも第一とか第二とかは便宜上宝飾店やマスコミがそう呼んでいるだけなんですよ。実は宮内庁の資料には「A型」、「B型」と記載されています。A型が第一ティアラ、B型が第二ティアラね。

宮内庁『皇室経済法第7条に規定される皇位とともに伝わるべき由緒ある物』のリストより

ーーそうなんですか! その「B型」「第二ティアラ」はどのようなものですか?

渡辺D:
大正天皇の即位にちなんで大正4年(1915年)、「御木本」が大正天皇の妻・貞明皇后のために胸飾りを作ったんですが、2年後に同じモチーフのティアラが作られ、これが代々受け継がれています。

ーー「御木本」?

渡辺D:
MIKIMOTO、ミキモトですよ。

ーーそうでした。

渡辺D:
菊型のティアラ、ブローチ、ブレスレット、イヤリングが、現在まで天皇陛下の由緒物(ゆいしょぶつ)として伝わっているんです。

皇后第二ティアラを着用された美智子さま

ティアラは全部でいくつあるの?

ーー皇后ティアラはそもそもいくつあるんですか?

渡辺D:
正式な記録としてあるのは2つ。明治天皇が皇后にお貸し下げになって以来、代々天皇が皇后にお貸し下げになるもの(第一、第二)。もうひとつ、ほかに通称「第三ティアラ」と呼ばれているものがあって、上皇后さまが皇后時代になさっていたんです。これは秩父宮妃勢津子さまのために作られたもので、勢津子さまから頂かれたものだと思われます。

秩父宮妃勢津子さまのために作られ美智子さまに受け継がれた第三ティアラ

ーーじゃあその第三ティアラも雅子さまに受け継がれたのでしょうか。

渡辺D:
それはわからないんです。今後雅子さまがおつけになるかどうか楽しみですね。

第一、第二、第三ティアラの使い分け

ーーティアラは皇后さまのお持物ではなく天皇陛下の由緒物なのですね。第一、 第二、第三ティアラはどのように使い分けるんですか?

渡辺D:
特に決まりはないようですが、雅子さまは即位に伴う儀式ではすべて第一ティアラをつけられていました。ただ、即位礼のあとの一回目の饗宴の儀のイヤリングは第二ティアラとセットの菊のイヤリングでしたね。組み合わせは自由なようです。

皇后第一ティアラ
皇后第一ティアラに菊のイヤリングの雅子さま

ーー皇后さまのセンスで組み合わせてらっしゃるのですね。素敵ですね。

渡辺D:
ところで戦後、「マント・ド・クール」が廃止されたので、現在は「ローブ・デコルテ」が女性皇族の最上級の正装になり、新年祝賀の儀、朝見の儀、宮中晩餐会などで着用され、長手袋、勲章、ティアラをつけます。ただし、宮中晩餐会の主賓が王族でなければ勲章とティアラはつけないんですよ。主賓を立てるという意味でね。

ーーそれで、例えば昨年5月トランプ大統領夫妻をお迎えした晩餐会ではつけていらっしゃらなかったのですね。ティアラは普段はどこにしまってあるんですか?

渡辺D:
それぞれのティアラはその方のお住まいにあるはずなので、皇后さまのティアラは今は赤坂御所の中のどこかに大切に保管されていると思いますよ。

ーーこの後、女性皇族が正装で新年祝賀の儀にいらっしゃいますが、皆さまのティアラはどのようなものですか?自分の好きなデザインで作ることができるんですか?

渡辺D:
ティアラは今は入札で製造者を決めています。秋篠宮家の長女・眞子さまのティアラは(株)和光が落札して28,560,000円。次女・佳子さまのティアラはミキモトで27,930,000円。ちなみに佳子さまの時に初めて、価格の最も低いところにする指名競争入札ではなく企画競争公示となって、金額だけではなくデザインなどを合わせて提出する形になったんです。すでに結婚された高円宮家の次女・典子さまはミキモトで15,225,000円。三女・絢子さまもやはりミキモトで14,857,500円。これらのティアラは宮内庁の管理のものなのでご結婚により皇族の身分を離れられたら持っていけないんです。

ご成婚の際、皇太子妃第一ティアラを着用された雅子さま

紀子さま、眞子さま、佳子さまのティアラは・・・?

雅子さまから紀子さまへ受け継がれた皇太子妃第一ティアラ

ーーほかの女性皇族のティアラも素敵ですが・・・

渡辺D:
紀子さまは平成2年、秋篠宮さまとのご結婚のときに作られたティアラをずっとなさっていましたが、去年5月1日「即位後朝見の儀」では、これまで雅子さまがなさっていた皇太子妃の「通称・第一ティアラ」を着けられていましたね。お代替わりに伴い、秋篠宮さまが皇嗣となられ、紀子さまが皇嗣妃というお立場になられたので皇太子妃のティアラは紀子さまのお手元にあるというわけです。きっと皇太子妃「通称・第二ティアラ」も同様かと思われます。

2019年10月22日即位礼饗宴の儀の際に眞子さまがつけられたティアラ
佳子さまもティアラがお似合い!

元日の午前10時から3時半ごろまで執り行われる新年祝賀の儀。女性皇族の皆様のティアラとドレスを拝見するのが楽しみです!
しかし、長丁場ですから、雅子さまにとってご負担が大きいのではないのでしょうか・・・。

雅子さまのご体調

今度は宮内庁キャップの宮﨑記者に聞きました。

宮﨑記者:
そうですね。確かに、午前は皇族各殿下、総理大臣等、衆参議長等、最高裁長官。お昼を挟んで午後2時半から各国大使など外交団からの挨拶を立ったまま受け続けられる一日になるのでご負担は大きいと思います。ティアラ自体の重さもかなりあるでしょうし。でも皇后さまは昨年16年ぶりに午前中のすべての儀式にお出ましになりましたし、今日は陛下の即位後初の新年の儀式でもあるので午後も含めてすべてに出られるよう体調を整える努力をされていたのではないかと思います。

ーー雅子さまの最近のご体調はいかがでしょうか。

宮﨑記者:
即位に伴う一連の儀式にすべて出席を果たし、ご自身のお誕生日の行事への対応、さらには26日には強行日程で宮城と福島の被災地を日帰りでお見舞いされましたので、かなりお疲れではあると思いますが、体調を整えながら準備に当たられているのではないでしょうか。一連の儀式が続く超多忙な日々も、陛下とよくお話になり、仲睦まじいご様子で様々なことを相談されていたそうですよ。皇后さまのお誕生日の映像を拝見しても、儀式の際に引き出物として用意されたボンボニエールの図柄などの話題で見つめ合いながら楽しそうに会話を交わされていました。ご夫婦のコミュニケーションが密であることも、皇后さまが多くの行事に臨まれる上での大きな要素となっているように思います。

天皇皇后両陛下にとっての令和二年

ーー両陛下はお忙しい年末年始ですが、愛子さまはどのように過ごされているのですか?

宮﨑記者:
未成年皇族は国事行為である儀式には出席されませんが、元日、未成年皇族が両陛下にご挨拶をする時間があり、愛子さまも皇居を訪れ、当時の両陛下、今の上皇后夫妻の新年のご挨拶をされていました。きょうも午前中には、ご両親である両陛下に宮殿の鳳凰の間でご挨拶をされます。

ーー私たちのようにこたつでゴロゴロというわけにはいかないでしょうね。

宮﨑記者:
(笑)小さいころは、両陛下の儀式の合間に凧揚げや羽根つきなど伝統的なお正月遊びをなさっていたそうです。儀式のない日には陛下の旧友ご家族を招いたひとときに愛子さまも同席されていました。

ーー両陛下とも本当に多忙な日々ですが、このあとはどのようなスケジュールなのですか。

宮﨑記者:
私の取材では、日々の様々な行事や準備もあるそうですし、大学進学を控えた愛子さまの授業もありますので、1月後半や2月に静養される予定は今のところないそうです。事務方は「少しお休みいただきたいのだが・・・」と話していたんですが・・・。


新しい時代のはじまりに「国民に寄り添いながら」と表現された天皇陛下と、陛下を支えられる皇后さまのお気持ちが伝わってくるようなエピソードを聞かせてくれた宮﨑記者は今日の「新年祝賀の儀」から、今年の皇室取材をスタートしていることでしょう。

そしてティアラについて教えてくれた渡辺ディレクターは分厚い文献を開きながら、雅子さまのお出ましを待っていると思います。

皆様もぜひFNNニュースで儀式の様子をご覧くださいね。

令和2年が始まりました。天皇皇后両陛下のお忙しい一日も始まっています。

【聞き手:フジテレビアナウンサー 島田彩夏
 取材:宮内庁記者 宮﨑千歳、皇室担当ディレクター 渡辺治波】