香港デモで「失点」 民意に耳を傾けない“強権支配”のイメージを払拭できるか

習近平国家主席 初の北朝鮮訪問で得る成果は

垣田友彦
カテゴリ:ワールド

  • 中国の習近平国家主席が20日から北朝鮮を公式訪問 
  • 発表されたのは香港での大規模デモの翌日
  • 訪朝のもうひとつの思惑とは・・・?

習主席初の訪朝発表はデモの翌日

2019年1月 北京で行われた中朝首脳会談

香港で200万人(主催者発表)が参加した中国への容疑者移送を可能にする条例改正案に抗議するデモの翌日17日、習主席就任後初の訪朝が中国と北朝鮮双方から発表された。訪問は、今月20日、21日の2日間の日程で、習主席は、金正恩委員長と首脳会談を行い、非核化や経済支援などについて話し合うとみられる。

訪問に先立って習主席は、北朝鮮メディアへの寄稿で「地域の恒久的な安定を実現するための遠大な計画を共に作成する用意がある」「地域の平和と安定、発展と繁栄のために積極的に寄与する」ことなどを表明し、北朝鮮の後ろ盾として朝鮮半島問題に積極的に関与する姿勢を強調した。

2019年1月 北京で行われた中朝首脳会談

ベトナムでのアメリカと北朝鮮の非核化をめぐる交渉が決裂し、米朝協議が膠着状態となる中、G20大阪サミットを目前としたタイミングでの訪朝は、習主席にとっては大阪で会談するトランプ大統領に対し、北朝鮮問題で中国の影響力を誇示し、中断している貿易協議で譲歩を引き出すチャンスかもしれない。

習主席のもうひとつの思惑

習主席には、今回の訪朝でもうひとつ思惑があるように思う。

デモの対応をめぐり、欧米などから非難を浴びた香港問題から国際社会の目を逸らすことだ。主催者発表で9日に103万人、17日には200万人が参加した中国本土への容疑者移送を可能にする条例改正案に反発、撤回を求めるデモだ。

条例改正案に抗議するデモ

香港市民は、「一国二制度」が形骸化し、このままでは「一国」になるとの危機感を抱き、これまでにない反発と怒りを見せた。結果、デモは返還後最大規模となり、警官隊は、若者らに向け催涙弾を使用し、トップの行政長官が「社会に混乱を引き起こした」と香港市民に謝罪した。

非を認め謝罪した香港の行政長官

そして、「撤回」は明言しなかったものの市民の理解が得られるまで改正案の審議は行わないと約束した。習近平政権がこの条例改正案を指示し、成立を強く求めたかは定かでない。

しかし、一連の香港政府の対応は、習政権の指示があったと考えられ、そのトップの行政長官が非を認め謝罪したことは、習政権にとって「失点」と言え、大きな痛手であることは間違いない。更に世界第二位の経済大国が、民意に耳を傾けず、強権支配を行っているとのイメージを改めて国際社会に印象付けた。

批判の声をシャットダウンできるか

香港の行政長官の謝罪は、習主席訪朝発表翌日のタイミングだ。香港問題で事態の鎮静化を図ることで、朝鮮半島問題の解決には、中国の関与と協力が必要であることをトランプ大統領に見せつけると同時に習主席訪朝の成果を国際社会に最大限アピールし、G20大阪サミットで批判の声をシャットダウンする環境づくりとも言える。

果たして思惑どおりになるだろうか。

【執筆:フジテレビ 国際取材部デスク 垣田友彦】

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