文部科学省は、さきほど、昨年度の「英語教育実施状況調査」の結果を発表した。この調査は、毎年行われているもの。去年12月1日時点で、全国の公立の小中高校を対象に行われた。今回の結果では、中高生の英語力は向上しているものの、引き続き、地域差があることも明らかになった。
中学生の英語 さいたま市と福井県がトップ
政府は、「英検3級」相当以上の英語力を持つ中学生の割合を50%にするよう目標を掲げていて、今回の調査結果によると、その割合は49.2%だった。これは過去最高の到達度で、英語力は、年々向上しているという。
都道府県・政令都市別に見ると、「英検3級」以上を取得している中学生(英検3級相当以上の英語力があると思われる生徒も含む)の割合が最も多かったのは、さいたま市(86.6%)で、次いで福井県(86.4%)となった。
両自治体は、政府目標の「50%」を大きく上回り、他の地域より圧倒的に高かった。最下位は島根県(34.1%)で、他にも複数の県が30%台にとどまった。
16日に行われた記者会見で、文科省の担当者は、「福井県では、英語教師が、研究会で、活発に良い事例などを情報共有している。20年以上前から、授業はすべて英語で行う方針で取り組んでいる」とした上で、「各自治体の取り組みが、如実に、結果に出ている」と強調した。
英検1級相当以上、高校教員の2割
また文科省が、今回初めて、高校の英語教員のうち、「英検1級」相当以上を取得している人の割合を調べたところ、22.5%だったことが分かった。わずか2割余りにとどまったことになる。また、高校で「英検準1級」相当以上を取得している教員は72.3%で、昨年度から2.6ポイント下がったという。
教師の英語力が子供の英語力に影響
中学生の英語力が圧倒的に高かったさいたま市と福井県のケースを見ると、福井県の場合、英語教員のうち、「英検準1級」相当以上を取得している人は65.3%にのぼり、最も高かった。
また、授業の半分以上に、生徒が日本語ではなく英語で参加している中学校の割合は、さいたま市が100%だった。
文部科学省の担当者は、「生徒の言語活動の割合や英語教師の英語力などが、生徒の英語力に影響を与えている。今後も研修などを通して、教員の英語レベルと指導力を上げていきたい」と話した。
(フジテレビ社会部・文科省担当 林英美)