今後5年以内に、県立高校・中等教育学校を、現在の55校から44校に再編する計画案を示した愛媛県教育委員会。これに反対する関係者が署名集めなどのアクションを起こす中、最も活発な動きを見せているのが、伊予高校との統合案が示された「松山南高校砥部分校」だ。
なぜ「砥部分校でなくてはならない」のか、その思いに迫った。
インフルエンサーも存続訴え…デザイン科「砥部分校」の統合案に反対
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砥部分校存続の会メンバー:
砥部分校デザイン科が、今、なくなろうとしている。伊予高にくっつくなんて無茶なことを言っている。それを今のままにしようという話
松山市駅前で署名を呼びかけているのは、「砥部分校存続の会」。伊予高校への統合案に反対する松山南高校砥部分校の、卒業生や保護者たちが立ち上げた。
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代表を務める中川礼さん。2022年に長女が砥部分校を卒業し、入れ替わりに長男が入学した。
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砥部分校存続の会・中川礼 代表:
目標は1万5,000筆です。できれば毎週どこかでできたらいいなと思っています。活動を広めていきたいので
街頭での署名集めは、この日が2回目。会の活動に賛同した、新たなメンバーも加わった。
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インフルエンサー・きなこっこさん:
ライブ配信を今からします。TikTokで。多分20万人位フォロワーがいるので
県内在住のインフルエンサー「きなこっこ」さんだ。
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インフルエンサー・きなこっこさん:
来れる人来てほしい。署名活動ライブ。よろしく
その後早速、フォロワーが署名に駆けつけた。
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訪れたフォロワー:
きなこっこさんが自ら活動を起こしていると思って、ぜひ力になれたらと思いながら
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インフルエンサー・きなこっこさん:
今はカットし終わった動画に、効果音とテロップを入れています
実は、きなこっこさんも2011年度の卒業生。砥部分校でイラストレーションなどを学んだ。
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インフルエンサー・きなこっこさん:
わたし、人生で一番、砥部分校の3年間が楽しかったくらい、本当に楽しい日々を過ごした。
砥部分校って施設的にもすごい充実した学校だと思うので、その施設をなくしてしまうのは、すごくもったいいないこと。
やっぱり砥部焼とか、すごい歴史的なものとかに出会う場でもあるなと思うんですよね
全国唯一 デザイン科のみの砥部分校 生徒の反応は?
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豊かな自然に囲まれた松山南高校砥部分校は、全国で唯一、デザイン科のみの高校だ。毎年、愛媛内外から多くの生徒が集う。
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愛媛県教育委員会・田所竜二 教育長:
これから高校進学を目指す子どもたちの学びを第一に考える、生徒ファーストの視点を何よりも優先させて、学校振興を進めていく所存である
愛媛県の示した計画で、統合先の伊予高校には普通科と理数情報科、そしてデザイン科が設置される。デザイン科の定員は砥部分校と同じ1学年40人で、今と同様の施設を整備するとしている。
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愛媛県教育委員会は少子化が続く中、今後15年間で子どもの数はさらに3割減る見込みで、デザイン科単独の学校のままでは存続が危ぶまれると訴える。また、立地的にも電車通学が可能になり、受験者の増加も見込まれるほか、ほかの学科の生徒と交流できるのは大きなメリットとしている。
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砥部分校の生徒:
母校がなくなるのは悲しいって言っている人も結構います。新しい校舎になるというところでいいんじゃないっていう意見もあります
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砥部分校の生徒:
砥部分校だと、この田舎の中で一つのデザイン科として1人1人が安心して学校生活を送れるようなそんな学校なので、(統合すると)リラックスした状況で作品制作ができない気がする
――統合に賛成の友達は?
砥部分校の生徒:
あんまりいません。いないよね。いないいない
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砥部分校存続の会・中川礼 代表:
(施設が)全く同じものがそこにできたとしても、やっぱり周辺に山があるわけでもないし、ものづくりの風土というのは培われていませんよね。デザイナーとかクリエイターにとって環境というのは本当に一、二を争うほどの大事なポイントになってくるので
西日本でも数少ない規模 「同様の設備を整備する」と言うが…
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砥部分校の特徴のひとつに、生徒全員が在学中に一度は「砥部焼」作りの基礎を学ぶことがある。今では、砥部焼の窯元は、卒業生が3分の1以上を占めているほどだ。
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設備も充実している。4つの窯と15の電動ろくろなどが設けられ、中には窯元が使うものの1.2倍の大きさのガス窯も。
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――なぜ大きな窯が必要?
砥部分校・永田公道 教諭:
秋の県展とかに出品する場合、生徒が大きい60~70cmの作品を作ります。で、大体8点~10点位ありますので、大きいガス窯じゃないと入らない。
――設備のレベルは?
多分、西日本一ではないかと思うんですけれども。大きなガス窯はなかなかないと思います
立派な設備はこのほかにもある。写真スタジオだ。
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砥部分校・木下恵里 教諭:
この規模のスタジオを持っているというのは、愛媛県では当然1校だけ。ほかの学校の規模に比べても倍以上の高さ。天井の高さと、広さ、種類の多さ。
バックの種類の多さっていうのは、西日本でも数少ない規模のスタジオというふうに聞いてます
山や川、空気が“命”の焼き物 “砥部焼は砥部でしかできない”
統合された場合、伊予高校にも同じような施設がそろえられるのか。この日、砥部町議会のメンバーが視察した。
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砥部町議会・三谷喜好 町議:
これだけの設備、どこにでもあるわけではない。これ急に持って行くったって、持って行けるわけじゃない
龍泉窯・池田富士夫さん:
ここ、環境いいでしょ。砥部自体がやっぱり
熟練の手つきで筆を滑らせるのは、砥部焼の窯元・龍泉窯の池田富士夫さん。
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砥部分校の元同窓会長で、「存続させる会」にとって頼れる相談相手だ。
計画では、伊予高校でも全校生徒が在学中に砥部焼に触れる機会を作るとしているが…。
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龍泉窯・池田富士夫さん:
今の施設、また移したら必ず同じものができるかというとそうではないんですよね。自然環境もあったり。窯にしてもやっぱり、その所の湿度とか、高気圧・低気圧、そういうので焼き方も変わります。そういう点で、やっぱりいい所にいいものができるんですよね
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“砥部焼は砥部でしかできない”。
砥部の山や川、空気がそろって初めて、優れた作品が完成するという。
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また、長年培われた「砥部分校」というブランド力の低下も指摘。過去5年間で約3割の卒業生が4年制大学に進学する中、「砥部分校」の名前がなくなる影響も気がかりだ。
署名の数は9月10日時点で、すでに目標の3分の2を超える1万362筆。
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砥部町議会・三谷喜好 町議:
砥部焼の里・アートの里として発展してきた本町にあって、同校の柔軟な発想力が果たす役割は大きく、今後さらなる地域貢献が期待される
砥部町議会も、分校の存続を愛媛県に求める意見書を、16日に可決した。
松山南高校砥部分校はどうなるのか。“わがまちの高校”の行方に注目が集まっている。
(テレビ愛媛)