企業説明会の解禁日を迎え、就職活動が本格的にスタートした。オンラインでは伝わりづらい会社の雰囲気をVR=仮想現実で紹介する企業も出てきている。

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東京本社のワンフロアをVRで再現

就職活動が本格的にスタートした1日、約250社が参加した合同企業説明会が東京ビッグサイトで開かれた。2022年も事前予約制となり、多くの学生が訪れた。

就活生:
コロナ禍でオンラインという中で、生の声が聞けないのは大きい。

就活生:
社員の雰囲気は対面のほうが分かるなと実際思いました。

こうした声がある中、オンラインイベントに新たな試みが。
伊藤忠商事は、2022年から就職活動にVR=仮想現実を導入した。4月に入社予定の内定者によって企画が考えられた。

内定者・松本理紗さん:
オンラインでなかなか人と会う機会がないことで、雰囲気や社風が分からないというところがあった。

そこで、東京本社のワンフロアをVRでリアルに再現。
この空間には採用ページに登録した学生のみ入ることができ、好きなアバターを選択して自由に歩き回ることができる。

企業からのメッセージを読んだり、社員の1日を追った動画を再生したり、採用SNSや採用ページに飛ぶことも可能だ。

4月中旬からは、全世界にいる駐在員をVR空間上で訪問できるようになるという。

伊藤忠商事 新卒採用リーダー・島村優大さん:
自分で動いて、自分で足を動かして情報をつかめるツールとして、まだまだ発展途上のツールではあるがまずは使ってほしい。

就活の「早期化」と「長期化」進む

内田嶺衣奈キャスター:
株式会社キャスター取締役CROの石倉秀明さんに聞きます。
感染の拡大によりオンライン中心の就職活動も3年目を迎えましたが、どうご覧になりますか?

株式会社キャスター取締役CRO・石倉秀明さん:
企業も学生も少しずつ慣れてきていると思います。
VRを活用していかに自社の魅力を伝えるか、各社の工夫が見えてきている印象です。今後、メタバースなどを活用する会社が増えてくると思います。

内田キャスター:
オンライン中心の就活が進む中で石倉さんが感じる課題というのはあるのでしょうか?

石倉秀明さん:
オンラインの場合、従来よりも企業がコストをかけずに企業説明会や採用選考が出来る事もあり、就活の「早期化」と「長期化」が進んでいると思います。結果的に就活の「本音と建前」の差が広がったように見えます。

例えば、政府が企業に要請した大学生の採用活動の解禁日はきょうですが、いくつかの就活サービスの調査を見ると、すでに15~20%程度の学生が内定を持っていますし、就活を始めている人は9割近い状況です。

本来は学業を優先するために今のスケジュールになっているはずなのに、現実は逆になってしまっていると思います。

通年採用への移行検討を

内田キャスター:
学生が不公平を感じることが無くなればと思いますが、就活のあり方について改めて考えるタイミングなのかもしれませんね。

石倉秀明さん:
通年採用への移行を本格的に検討していくタイミングに来ていると思います。
今のようなスケジュールだと、例えば海外に留学している学生だと就活スケジュールが合わなくて1年留年するケースがあったり、理系で研究が忙しい学生や体育会の学生などタイミングが合わずに就活で不利になってしまう可能性もあります。

あわせて卒業後に就活することも可能になる制度設計も考える必要があると思います。
なので、根本的に「特定の時期だけ」に行う採用方法を考え直すタイミングに来ていると感じます。

内田キャスター:
学生の就活のチャンスが増えるということは企業にとってもより多くの人材にめぐりあえることでもあります。 お互いにとって素敵なご縁が広がればいいなと思います。

(「Live News α」3月1日放送分より)