「履歴書」に代わる「履歴動画」
就職活動は履歴書ではなく動画でアピール。学生、そして企業側にもメリットがある動きが広がっている。
カメラの前で自己PR動画を撮影している再来年春の就職を目指す学生。
この記事の画像(13枚)「履歴動画」を撮影する学生:
本質を見抜くという力は誰にも負けない自信があります
この動画は「履歴書」に代わる「履歴動画」として、企業に送るためのもの。
就職支援サイトを運営する企業は25日、就活生向けに動画の撮影会を開いた。
ベクトル「JOBTV」事業担当 中根えりかさん:
コロナ禍での採用になって説明会に参加できない学生の声だったり、オンラインで動画を学生に広く伝えたいという企業の思いでできたサービスです
コロナ渦で2020年から徐々に導入する企業が増えた「履歴動画」。
参加した男子学生:
むしろ動画を撮る方が慣れている人も多いと思うので、自分の伝えたいことはしっかり伝えられると思います
生まれた時からインターネットに慣れ親しみ「Z世代」と呼ばれる就活生にとって、 動画撮影自体はお手の物。しかし今回は勝手が違うようだ。
参加した女子学生:
難しいです。動画を撮ること自体には慣れているけど、論理的に話すというのは普段の動画ではやらないので…
説明会では、「カメラ目線で喋る」「カメラは固定する」など細かい指導が行われた。
参加した女子学生:
履歴書は文字数の中でいかに分かりやすく面接官、人事の方に伝えるかを考えるのが難しいけど、動画にすると表情だったり声色だったりで内側にある自分の人間性を伝えやすいのかなと感じています
参加する企業は200社以上。まるで動画投稿サイトのように企業を説明する動画がアップされている。
サイトに登録した就活生は個々の企業に資料請求する必要はなく、動画閲覧は無料。動画は情報量が多く短時間で理解を深める事が出来る。
就活生は興味を持った企業に「履歴動画」を送れば、簡単に就職試験にエントリー出来る仕組みだ。
一方、取り入れる企業側のメリットも大きいという。
アップセルテクノロジィーズ新卒採用担当・大滝愛美さん:
動画にすることで会場をおさえることもなく、なおかつたくさんの方に視聴していただけるので、そういったところでコスト面はかなりカットできていると思っています
コロナ禍で勢いが伸びつつある「履歴動画」。履歴書は過去のモノになるのだろうか?
大量エントリーではなく厳選した応募へ
Live News αでは社員全員がリモートワークで働く会社 「キャスター」取締役CROの石倉秀明さんに話を聞いた。
三田友梨佳キャスター:
このニュースをどうご覧になっていますか?
「キャスター」取締役CRO・石倉秀明さん:
Z世代中心に今はTiktokやYoutubeで情報を得たり、自分でも動画を撮影したりも当たり前になってきているので、就活においても動画を活用するのは普通になってくるかもしれません。ただ今の新卒採用では、就活サイトから一括エントリーできることもあり、1人の学生さんが100社以上エントリーすることもざらにあります。そうすると企業にとってはたくさんの応募者が来るんですが、全員に会うわけにはいかないので、誰を面接に呼ぶかの選考に膨大な時間と手間がかかってしまいます。実際に、自分が新卒採用の人事をやっていたときもそうでした
三田友梨佳キャスター:
そうした問題は今回のような動画を利用することで解決できるのでしょうか?
「キャスター」取締役CRO・石倉秀明さん:
そうですね、企業の中のことや違いがわからないから学生さんはとにかく大量にエントリーをする、そして企業はその大量のエントリーを履歴書で選考するとなると、人柄まではわからないのでどうしても学歴などで選ばざるを得なかったり、負のサイクルを生み出していることもあったと思います。動画が使えるようになると、会社の本来の雰囲気だとか実際に働いてみないとわからないような空気感まで伝えることができるので、学生さんもじっくり厳選して応募することができるし、それによって企業も大量エントリーを抑えて、1人1人に向き合って選考できるということがあると思います
三田友梨佳キャスター:
確かにお互いのことを事前によく知っておくことで学生と企業側のミスマッチも減りそうですね
「キャスター」取締役CRO・石倉秀明さん:
ただ企業にとっては動画だからこそ伝えられる自社の雰囲気や空気感を、どううまく表現できるかという新しいスキルが求められることも確かだと思います
三田友梨佳キャスター:
企業側がZ世代の感覚についていけるのかも1つポイントとなりそうですが、動画には紙ではなかなか伝わりきれない個性や将来性など圧倒的な情報量があるはずです。時代のニーズに合わせて就活のカタチはより多様化していきそうです。
(「Live News α」11月25日放送分)