北陸新幹線の敦賀ー新大阪間のルートを巡り、福井県と JR 西日本が相次いで小浜・京都ルートの実現を強く求める姿勢を示した。与党整備委員会が8つのルート案の再検証を決めた中、福井県の副知事は「小浜市付近を通らない整備計画には同意しない」と明言。JR 西日本社長も「小浜・京都ルートが望ましい」と改めて強調した。
与党が8つのルート案の検証、県は警戒感
北陸新幹線の敦賀ー新大阪間のルートについて、自民党と日本維新の会でつくる与党整備委員会は15日、維新の会が提示した8つのルート案について再検証を行うことで合意した。
18日に開かれた福井県議会予算決算特別委員会では、自民党福井県議会の清水智信議員がこの検証に懸念を示し、「誰が知事になっても休んでいる暇はない。すぐに行動に移せるような組織体制にしっかり移行できるか」と質した。
というのも福井県は、前知事の杉本達治氏が自身のセクハラ問題で任期途中で辞職した。年明けには知事選挙が行われるが、県政課題の重要な局面で知事が不在となっている現状がある。
こうした中、知事の職務代理者を務める中村保博副知事は「ゼロベースからの議論は全線開業の遅れにつながるだけ」と応じ、「小浜・京都ルートが全線開業に向けての一番の近道であって、他の7つのルートとは別格な話である」と述べた。
さらに「小浜市付近を通らないという整備計画の変更や環境アセスメントの実施には、福井県は同意しない」と明言。小浜・京都ルート以外の選択肢はないという強い姿勢を示した。
滋賀県も「小浜・京都ルート」求め連携強化へ
中村副知事は滋賀県の三日月大造知事からも「小浜市を通らない米原ルートや湖西ルートは明確に否定する。福井県とともに小浜・京都ルートを求める」との意向が伝えられたことを明かした。
その上で重ねて「50年来の悲願達成に向けて、新体制となっても迅速に政府与党に働きかけていきたい」と強調し、知事が変わっても一貫した姿勢で小浜・京都ルート実現に向けて取り組む決意を表明した。
JR西日本社長も「小浜・京都ルート」支持を再度、明言
同日、JR西日本の倉坂昇治社長も定例会見で「鉄道事業者の立場、お客様の利便性の立場からすると、小浜・京都ルートが私どもとしては望ましいと考えております」と改めて表明。
北陸新幹線の敦賀ー新大阪間をめぐる議論は、維新が提示した8つのルート案を再検証するという、いわば“振り出しに戻った”ともいえる形だが、福井県と滋賀県、そしてJR西日本が足並みをそろえて小浜・京都ルートを支持する姿勢を改めて鮮明にした形となった。
