1月22日午後6時半ごろ、東京・赤坂の特許庁前の交差点に、内閣府の公用車が赤信号を無視して進入、9人が死傷する事故が発生しました。

警視庁によると、公用車は赤信号になってから1分以上経過したあと交差点に進入、目立ったブレーキ痕はないといいます。
一体なぜ事故は起きたのか…「サン!シャイン」は交通事故鑑定のスペシャリスト・中島博史氏とともに事故現場や映像を解析し、原因を検証しました。

交通事故鑑定人・中島博史氏:
(公用車の運転手は)衝突の瞬間には全く操作できない状態で意識を失っているような状態。
衝撃の大きさ…ドライブレコーダー映像
事故の瞬間を捉えたドライブレコーダーの映像を見てみると…。

直進する白のミニバンが交差点に差し掛かると、画面右側から突然黒い車が猛スピードで衝突し、衝撃で飛ばされたミニバンは大破。

フロント部分が宙に浮いているように見えます。
その後、飛ばされたミニバンは並走していたタクシーに衝突し、そのまま反対車線まで飛ばされてしまいました。

衝突されたタクシーの運転手:
突然左の後ろに強い衝撃と音を感じまして、私の車がそこで2回転をして、その最中にいろんな車と衝突しながら、何とか止まったと…。

事故を起こした車はフロントガラスが粉々に割れ、ボンネットが折れ曲がり、エンジンがむき出しになっていました。
この車が内閣府の公用車。
あわせて6台の車が絡んだこの事故で、タクシーの後部座席に乗っていた港区の会社員、明石昇さん(32)が死亡し、男女8人が重軽傷を負いました。
中島氏が映像解析「運転手が意識を失っていた可能性」
事故の瞬間の映像を見た中島氏がまず指摘したのが、公用車の運転手についてです。

中島博史氏:
まず正面が赤信号ですし、交差している車も見えますから、(ぶつかりそうになったら)最優先で減速しようとするはずですし、運転手の心理として交差する車が右から来ている状態なので、反射的な反応をするのだとしたら左にハンドルを切って逃げようとすると思います。

なので、そういう操作が全く見られないことから、おそらく衝突の瞬間には全く操作できない状態で意識を失っているというような状態だったのではないかと思います。
事故を起こした車はセンターラインを超え、ほぼ逆走の状態で交差点に進入していたことも分かっています。
時速90km程度で交差点進入か
さらに中島氏が今回、事故の被害を大きくした要因として指摘したのが、「連続する下り坂により時速90㎞程度で交差点に進入した可能性」です。

事故が起きた交差点は、首相官邸から直線距離でわずか350mほどの官公庁や国の重要施設が密集するエリア。
中島氏同乗の下、事故を起こした車と同じように現場の交差点に向けて車で走ってみました。

中島博史氏:
このあたりからずっと下り坂なんですけれども、坂が急なためにあまり減速ができない状態になります。
もしも運転中に気を失ってしまった時に、足が突っ張ってアクセルペダルを踏み込んでいなくてもあまり減速しないまま、むしろ坂道なので加速しながら進んでしまうというような状態になるのがここの地形の怖いところです。

交差点の手前で2度、合わせて約400mにわたって急な下り坂が続きます。
この下り坂が、運転を制御できない状況下でスピードを加速させた要因だといいます。
中島博史氏:
白いミニバン、かなり車重が重いんですけども、それをこの短時間に弾き飛ばしてしまうということは相当な速度、おそらく時速80~90㎞程度で衝突していると思います。
さらに…。

中島博史氏:
ハイブリッド車の特徴として、普通に走っている状態でアクセルを離した時に、ブレーキの利き方というのが弱いです。
運転手が操作不能時に車を止める技術は開発中…しかし法整備が

松村未央アナウンサー:
事故を起こした車は内閣府の公用車でした。
フジテレビ・松山俊行解説委員長によりますと、事務次官・官房長・審議官など内閣府の官僚幹部が乗る車で、別の車種では内閣府特命担当大臣など政治家が乗る車もあるそうなんです。
運転手は69歳、内閣府が運転業務を委託している会社の運転手。中島さんによりますと、運転に特別な資格が必要なわけではなく、社内研修程度だそうです。

今回の事故に関しての責任の所在ですが、警視庁は危険運転致死傷の疑いも視野に捜査しています。交通事故に詳しい弁護士法人・響 西川研一代表弁護士によりますと、運転手の派遣元が過重労働・持病を把握していたり、何度も事故を起こしていたのに対応していなかった場合は、派遣元も事故の責任を問われる可能性があるそうです。

谷原章介キャスター:
運転手が体調が悪くなったり、意識を喪失した場合に僕たちができることはありますか?

中島博史氏:
基本的に同乗者はできることはないです。自動車の運転の場合には運転手が全部の責任を負って乗せているということになるので。
運転をする側としては、自分が体調が悪かったり、「何か危ないかもしれない」と思ったら人を乗せない、運転しないという判断をする勇気も必要だと思います。
技術的な話だと、運転手が体調不良、あるいは操作不能になったことを検出して車を止めるような技術を開発中ではあります。
ただもし操作をして、二次的な事故が起きた時の責任がどこになるのか、例えば回避しようとしたら他の人にぶつかってしまった、それをコンピューターが判断した場合にはどこに責任があるかっていうところがまだ、法律的にも社会的なコンセンサスもできていないので、あくまで技術的にはできても、どういう制度できちんとした対応をしていきましょうっていうところがはっきり決められていない。
谷原章介キャスター:
それが進まないからこそ自動運転も進まないじゃないですか。どこかでそういった議論はちゃんと進めた方がいいと思いますね。
(「サン!シャイン」1月26日放送より)
