日本気象協会によると、東京都心の開花予想は「3月21日」。
しかし、楽しみなお花見シーズンを前に…。

この記事の画像(17枚)

3月7日、世田谷区にある砧公園で、高さ10メートル以上のソメイヨシノが倒れ、70代の女性が一時下敷きになり、けがをしました。8日には、同じ公園でヒマラヤスギが倒れ、車に接触。2日続けて木が倒れたのです。
前触れなく倒れてくるため、人に直撃するリスクもあり、命の危険もある倒木…。

都内では2025年9月にも、駒沢オリンピック公園で桜の木が倒れ、女性がけがをする事故が発生しています。
さらに新宿区では、2025年8月に桜の木が傾き、柵が破損。区によって伐採されました。

なぜ今、桜の倒木が相次いでいるのでしょうか?日本樹木医会の小林理事によると…。

日本樹木医会 小林明理事:
ソメイヨシノの場合には、60年~80年くらいが寿命。
いろいろ傷んだ部分が出てきて、安全面で倒れたり枝が折れたりする。

日本の桜は戦後の復興期に植えられたものが多く、それらの多くが寿命を迎えているというのです。

新宿区の桜並木を調査

『サン!シャイン』は、小林理事と共に新宿区の桜並木の状態を調査しました。

日本樹木医会 小林明理事:
こういう部分が腐ってる部分ですね。
カビが木の部分を食べながら生育する。生育した後に出てくるのがキノコですね。

こちらの桜は幹の一部が樹皮に覆われておらず、腐食しているといいます。

そして、キノコは木の腐食を示すサイン。幹全体には広がっていないため直ちに倒木する危険はないものの、状態を注視していく必要があるといいます。

別の桜の木は…。

日本樹木医会 小林明理事:
これは、ほぼほぼ枯れてるんです。

枝にキノコがびっしり。歩道側の枝ではないため、人への危険は少ないですが、強風などで落下する可能性があるといいます。

注意すべきポイントは、ほかにも。

川の方に傾いて見える桜。そのワケは…。

日本樹木医会 小林明理事:
建物があって(歩道側に)枝が伸びられない。川側には伸びられる。幹の重心が川側にいくので傾いてしまう。

川を覆うように咲き誇る桜は“絶景”を生みますが、幹が傾きすぎれば倒木の可能性があり、注意が必要だといいます。

新宿区は、現在までに神田川沿いの桜170本を調査。6割以上の桜に著しい被害があることが分かりました。今後は地域住民との連携を図りながら、桜並木の維持・継承に取り組むとしています。
目黒区によると、目黒川沿いの桜並木は、約8割に注意が必要だといいます。

特定外来生物「クビアカツヤカミキリ」

さらに、全国の桜が抱える問題は、老朽化だけではありません。

都内にある辰巳の森緑道公園。約200本の桜が咲き誇る桜の名所ですが、今年、お花見シーズンを前に20本の桜の木を伐採することになりました。その原因は…。

日本樹木医会 小林明理事:
これ(穴)だけで1、2、3、4個入ってる。クビアカツヤカミキリが入ってるのがよくわかる木ですね。

特定外来生物「クビアカツヤカミキリ」。この幼虫が、桜などの樹木に入り込んで内部を食い荒らしたことで木が弱り、倒木する可能性が高まってしまったのです。
東京都では伐採後、あらためて植樹を行う予定です。

「クビアカツヤカミキリ」の被害は、14年前に愛知県で初めて被害が確認されて以来、現在16都府県に拡大。倒木問題は全国規模で対策が求められています。

危険な木の見分け方は?

小林理事によると、都心部は特に倒木に注意が必要だといいます。

日本樹木医会 小林明理事:
都心部に植えられた桜は十分な根が張れない状態の桜が多いんです。上野公園みたいなのは少ない例で、街路樹は特に狭いところに植えられてますので、それだけ水や養分が得にくい。光もビルなんかで得にくいということがあります。

では、危険な木の見分け方はどうすればいいのでしょうか?
小林理事によると、普段の診断の際には、木の「空洞率」を調べるといいます。

日本樹木医会 小林明理事:
根元に空洞があるサインを示すキノコがあったりすると、中を機械で調べることもあります。
結構ソメイヨシノは生育が早いんで、60~70年たつと人間と同じようにいろいろ傷んでくる。その一つの部分が根元にキノコが出たり、中に“腐朽”といわれる腐った部分が出てくる。
それが外から見えないんで、どのぐらいだかわからないんで、機械を使うということがあります。

危険な木の幹の特徴は…

・キノコが生えている
・木が傾いている
・穴(ウロ)がある

日本樹木医会 小林明理事:
太陽に幹が当たって熱くなって、木の皮が死んでしまって長い間をかけてボロボロになっていくことと、車がぶつかったりして傷んで、そこからボロボロになっていくこと。それプラス、キノコがあってその部分が外側に近くなってきてまたボロボロになっていく。いろんなパターンがあるんですけども、そんなことで穴ができます。

また、枝先に花がつかないものは木が衰弱している可能性があるといいます。

日本樹木医会 小林明理事:
(例えば)土があまり良くないところに植えられていて、さらに大地であるがゆえに水が十分確保できない。樹木には水と栄養と光が一番大事です。CO₂はいくらでもあるんですね。そのうちの1つでも欠けるとそういうふうになるということです。

区や自治体は樹木医と協力して剪定(せんてい)などを行っていますが、樹木医が診断してから住民へ説明をしたのち、作業に取りかかるため、時間がかかってしまう現状があります。

――景観を維持するには少しずつ手入れをしながら持続可能にしていくしかないんでしょうか?
今そういう時期に来てるんです。それを倒木が少しずつ教えてくれると思った方がいいです。

(『サン!シャイン』3月11日放送より)