23日のニューヨーク外国為替市場の円相場で、1ドル=155円台後半まで円高・ドル安が急速に進行した。これに先立って、23日の東京市場でも、夕方の約10分間に2円程度円が急騰する場面があり、為替介入をめぐって憶測が飛び交っている。
10分で2円の円急伸
日銀は、23日まで開いた金融政策決定会合で、政策金利を0.75%程度に据え置くことを決めた。2025年12月に利上げしたばかりで、当面は影響を見極めることにした。
会見に臨んだ植田総裁は、このところの長期金利の上昇について「かなり速いスピードだ」との認識を示し、「例外的な状況では、機動的にオペ(公開市場操作)を実施することもありうる」とした。
一方で、次の利上げをめぐっては「4月は価格改定の頻度が高く、利上げ判断の一つの材料だ」としつつも、「今は、賃金や物価の上昇がどの程度のペースで続くかを多様な指標から判断していくべき時期だとみている」と述べた。
円相場は、会見が始まった午後3時半には1ドル=158円60銭前後だったが、約1時間後の終了時には159円台前半まで値下がりした。植田総裁が追加利上げに積極的な姿勢を示さず、日米の金利差が縮小しないとの見方から、円売りが広がる格好となった。
相場の雰囲気が変わったのはそのあと、午後4時40分ごろだ。円相場は円高方向に反転して157円台前半まで上昇し、わずか10分程度のうちに2円ほど急騰した。ただ、勢いは長くは維持されず、午後5時ごろには再び158円台前半まで下落し、乱高下を見せた。
為替介入の前段階?
市場関係者の間で広がったのは、「レートチェック」をめぐる観測だ。
「レートチェック」とは、為替介入を実施する前の準備段階として、通貨当局が市場参加者に相場水準を尋ねるものだ。円買い介入の場合、実際の介入時に円を買う額や量の参考にするため、為替取引の動向を聞き取りする。
23日夕刻の2円の急騰は、海外勢が大きな円買いを行うなどした可能性もあるが、介入の前段階として日銀が「レートチェック」を行うなかでの動きだったのではとの見方が浮上した。
その後、23日のニューヨーク市場の円相場でも円が急騰した。アメリカ東部時間の午前中は158円台前半で推移していたが、昼ごろから急伸の場面が2回見られ、2円以上円高・ドル安が進む展開となった。

こうした動きについて、アメリカのメディアは、アメリカ財務省の要請でニューヨーク連銀がレートチェックを実施し、金融機関に為替相場水準について問い合わせを行ったと報じた。市場関係者の間では、過度の円安を是正するために日米当局が連携に動き出したとの観測が出ていて、円の買い戻しに弾みがついている。
衆院選の中での円安圧力
日銀の金融政策決定会合の直後に介入があったのが2022年9月だ。当時の黒田日銀総裁が会見で金融緩和を堅持する姿勢を示すなか、円が急落し、円買い介入が行われたが、介入準備としてのレートチェックは、その1週間ほど前に実施されていた。

このときは、日本の単独介入だったが、片山財務相は、これまで、介入についてベッセント米財務長官と認識を共有していると明かし、過度な円安の進行には「あらゆる手段を含めて断固たる措置をとる」と繰り返している。

トランプ大統領はグリーンランドをめぐり、ヨーロッパ8カ国に関税を課すと表明してトリプル安を呼んだものの、方針は撤回され、来週27日~28日のアメリカFOMC=連邦公開市場委員会は、政策金利維持を市場がほぼ見込んでいて、円ドル相場についてのアメリカ側の材料は一巡した格好となっている。
一方、日本では衆院が解散し、2月8日の投開票日に向けた事実上の選挙戦がスタートした。与野党の多くが消費税の減税を掲げるなか、財政悪化リスクへの懸念から、円安・ドル高圧力が強い状態が続く。
約4週間ぶりの水準まで円高方向に戻った円相場だが、これまで実際の介入時は5円を超える値幅となることも多かった。
為替介入をめぐる憶測が飛び交うなか、来週の円相場は神経質な値動きが一層強まることになりそうだ。
(フジテレビ解説副委員長 智田裕一)
