ただし、長期的にはストレスの原因そのものに対処するほうが望ましいのは言うまでもありませんし、「勉強をせずに読書を長時間し続ける」ことは、学力には明確にマイナスです。
やはり、「勉強」や「読書」の前に、「状況・環境」を整える必要があると思います。
読書以外の息抜きも大切に
さて、ここまでは「勉強が嫌い」というケースでした。
一方、子ども本人に勉強のやる気があり、保護者もそれを応援しているケースはどうでしょうか。高校・大学受験はもちろん、中学受験を目指す小学生もいると思います。
子どもはすでに毎日長時間の勉強をしています。さすがに勉強ばかりでは飽きてしまい、集中力を欠くようになってしまうかもしれません。
もし子どもが読書好きなのであれば、息抜きを兼ねて読書が楽しめれば理想的です。「読書は学力を高める」という知見が子どもと保護者で共有されていれば、互いに罪悪感なく息抜きできるでしょう。
ただし、あくまで「息抜き」であって、長時間の読書は学力向上という面ではお勧めできません。
小学生なら1日30分〜1時間程度までに、中学生なら10〜30分程度をとっかかりにそこから調整すべきです。これは仙台市のデータや、全国学力テストからの目安です。
ある程度は「勉強」や「読書」とはまったく無関係の「その他の活動」できちんとリラックスしたほうがよいでしょうし、勉強で疲れた頭を癒やすためにも睡眠時間は長めにとったほうがよいでしょう。
このように、学力向上においても「読書はすればするほどよい」というものでもありません。読む人の特性・環境・状況に合わせて調整することで、本人と保護者の目指す目標を達成する力になってくれるでしょう。
(※)Greaney, V., & Neuman, S. B.(1990). The functions of reading: A cross-cultural
perspective. Reading Research Quarterly, 25, 172-195.
猪原敬介
教育心理学・認知科学者。著書に『読書効果の科学 読書の“ 穏やかな” 力を活かす3原則』『読書と言語能力 言葉の「用法」がもたらす学習効果』(いずれも京都大学学術出版会)などがある。
