生後1年未満の赤ちゃんを育てる母親をサポートする「産後ケア」のニーズが富山県内でも高まっています。
「母親を孤立させない」産後ケア施設を取材しました。
*砺波総合病院看護部 黒田広美師長
「こちらが産後ケアで利用するお部屋です」
砺波市の総合病院では、19日から生後4ヵ月未満の赤ちゃんを育てる母親を対象に、宿泊型の産後ケア事業を始めました。
*砺波総合病院看護部 黒田広美師長
「砺波医療圏においては宿泊型の産後ケア施設が今までなかった。実際に母親から『近くで利用できればいい』との声があり、南砺市、砺波市、小矢部市から委託を受けて当院ですることに」
自治体による産後ケアは、子育て支援事業のひとつとして近年、ニーズが高まっていて、利用できる施設も増えています。
産後の検診とは異なり、母親の心身のケアを優先しながら、助産師や看護師による育児支援が受けられます。
利用料金は自治体によって異なりますが、砺波市在住の場合は、1泊2日、3食付きで3300円です。
*砺波総合病院看護部 黒田広美師長
「24時間体制で看護師、助産師がサポートできるようになっている。気軽に利用、心も身体もリフレッシュしてもらえたら、産後うつの予防にもつながる」
10人に1人が経験すると言われる「産後うつ」
出産後はホルモンバランスの変化や育児で眠れない日々が続き、心身のバランスを崩す母親も少なくありません。
富山市の産後ケア応援室。
生後4ヵ月未満の赤ちゃんを育てる母親が利用できます。
この日は4人が利用していました。
*産後ケア応援室 大田優子副主幹
「寝不足というよりも眠れない、気持ちも休まらない。久しく大人と話していないという母親も。社会から取り残されている気持ちを感じている母親も」
育児の相談だけでなく、母親の孤立を解消することが子育て支援につながっています。
*産後ケア応援室 大田優子副主幹
「以前2人目を出産した人に『1人目のときに利用して救われた。ここで過ごすことができるという気持ちを持てたから2人目を出産しようと思えた』と話してくれたお母さんもいた」
この施設では、1人の母親に対し、助産師がマンツーマンで対応。
利用者は年々増加していて、今では月に50件ほどです。
富山市は今年度、宿泊型は想定の2.5倍の利用件数があったことなどから、補正予算で約430万円を追加計上しました。
*産後ケア応援室 大田優子副主幹
「(産後ケア施設は)心の拠り所になれる身近な存在。生活の一部としてこちらに行き来するような気持ちで気軽に利用してもらえたら」
県内には、こんなユニークな産後ケアも。
3年前に産後ケア事業をスタートした上市町です。
*上市町福祉課 藤名裕美係長
「上市町の産後ケアでは温泉施設が利用できます」
上市町は産後ケアの1つに、温泉旅館「つるぎ恋月」で5時間滞在できるプランを採用。
助産師2人体制でケアを受けながら、温泉と豪華食事を含む休息が3000円でとれると人気を呼んでいます。
この日は生後3ヵ月になったばかりの有咲音くんの母親が利用。
2歳上の兄の育児も重なり、1人の時間はほとんどとれていません。
*かみいち総合病院看護部 平井志乃扶師長
「赤ちゃんのこと先聞くくんだけど、おっぱい一日何回あげている?」
*有咲音くんの母親(30代)
「今、4、5回くらい」
*かみいち総合病院看護部 平井志乃扶師長
「2人いると自分の時間もてなくて大変だよね」
育児や心身の悩みを相談したあとは、赤ちゃんを預けて、温泉で普段はできないゆっくりとした入浴の時間。
産後ケア利用者のために特別に用意された栄養たっぷりな食事もじっくり味わえます。
*有咲音くんの母親(30代)
「産後は特に一生懸命育児していたら、気づかない間に身体も精神的にもいっぱいいっぱいに。実際受けてみたら気分転換にもなった。実際に相談したり、話を聞けたり心に余裕を持つことができるので、子どもと関わるうえでも余裕をもって関われるようになった」
「産後のお母さんを孤立させない」
県内の自治体の多くは、心身に大きな不調がない場合でも、気軽に利用してほしいと呼びかけています。
*上市町福祉課 藤名裕美係長
「いろんな人の力を借りてみんなで育てていくことを目指したい」