1月14日に皇居・宮殿で催された「歌会始の儀」。今年は、成年皇族となり初めて出席された悠仁さまに注目が集まったが、今から11年前には、悠仁さまの姉・佳子さまが初めて「歌会始の儀」に出席し、まだ幼かった悠仁さまを寝かしつけるときに本の読み聞かせをした思い出を歌にして詠まれた。
平成27(2015)年1月25日放送「皇室ご一家」(第1793回 歌会始の儀)を振り返る。
なお、本記事は当時のナレーションをそのまま記載。現在の上皇ご夫妻を「天皇皇后両陛下」、天皇皇后両陛下を「皇太子さま」、「雅子さま」などと記載する。
佳子さまが初めて臨まれた「歌会始の儀」
1月14日、新春恒例の宮中行事「歌会始の儀」が皇居の宮殿・松の間で行われました。
年の初めに宮中で催される歌会始は、共通のお題で歌を詠み披露するもので、鎌倉時代にはすでに行われていたといいます。明治時代からは国民も参加できるようになりました。
今年は去年12月に成年を迎えられた秋篠宮ご夫妻の次女・佳子さまが、初めて歌会始に臨まれました。
今年のお題は「本」。
2万首を超える一般応募からは10首が選ばれ、最年少は15歳の女子中学生でした。
その10首が古式ゆかしい独特の節回しで披露されました。
続いて歌を選出する選者、陛下から招かれた召人(めしうど)の歌が詠まれたあと、皇族方の歌が披露されます。皇太子さまが詠まれた歌です。
《皇太子さまの歌》
「山あひの紅葉深まる学び舎に本読み聞かす声はさやけし」
皇太子さまは去年10月、山形県で行われた全国育樹祭に出席した際、地元の小学校をお訪ねになりました。
教室で、地域のボランティアサークルによる紙芝居の読み聞かせの様子をご覧になった皇太子さま。この歌はその時の印象をお詠みになったものです。
《雅子さまの歌》
「恩師より贈られし本ひもとけば若き学びの日々のなつかし」
イギリス・オックスフォード大学大学院時代の恩師から、著書を贈られた雅子さま。その本を少しずつ読みながら、当時の学生生活を懐かしく思い出した気持ちを歌に込められました。
秋篠宮さまが詠まれた歌です。
《秋篠宮さまの歌》
「年久(としひさ)しく風月(ふげつ)の移ろひ見続けし一本の巨樹に思ひ巡らす」
去年10月、グアテマラとメキシコを訪問された秋篠宮ご夫妻。
メキシコでは、世界一太い木としてギネスブックに載る、樹齢千数百年の巨木「トゥーレの木」を見学されました。
秋篠宮さまは長い年月にわたってその場所の移ろいを見てきたこの巨木に思いを馳せ、歌に詠まれました。
佳子さまが成年皇族として初めて披露された歌には、母・紀子さまと弟・悠仁さまへの思いが込められています。
《佳子さまの歌》
「弟に本読み聞かせゐたる夜は旅する母を思ひてねむる」
佳子さまは、去年20歳の誕生日会見で、悠仁さまについてこう述べられています。
〈佳子さま 20歳の誕生日会見〉
年は離れておりますが、けんかをしたり一緒に遊んだりしております。最近は姉が海外にいて、また、両親も仕事で家にいないことが多かったため、二人で折り紙をしたり本を読んだりして過ごす時間もございました。
姉の眞子さまがイギリスへ留学されているため、ご両親が、公務で家を空けられる際はお休みになる前の悠仁さまに、本の読み聞かせをされることもある佳子さま。
その折り、母の紀子さまのことを思い出すという心情をお詠みになりました。
両陛下の歌は、司会役の読師(どくじ)がお席から歌の書かれた懐紙(かいし)をいただいて中央の披講席(ひこうせき)に運びます。
皇后さまの歌「御歌(みうた)」です。
《皇后さまの歌》
「来(こ)し方(かた)に本とふ文(ふみ)の林ありてその下陰に幾度(いくど)いこひし」
皇后さまは、林の木陰で憩うように過去幾度となく、本によって安らぎを得てきたことを思い起こし、本に対する親しみと感謝の気持ちをお詠みになりました。

最後に陛下の歌「御製(ぎょせい)」が披露されました。
《陛下の歌》
「夕やみのせまる田に入り稔りたる稲の根本に鎌をあてがふ」
毎年、皇居内の水田で初夏に田植え、秋に稲刈りをされている陛下。豊作を願う恒例行事で、昭和天皇の時代から続いています。
この御製は、毎年植えた稲を鎌で収穫する秋の情景をお詠みになったものです。
滞りなく終了した歌会始の儀、来年のお題は「人(ひと)」と決まりました。
佳子さま 武蔵陵墓地をご参拝
歌会始の翌日、佳子さまは東京・八王子市にある武蔵陵墓地をお訪ねになりました。
昭和天皇が眠る武蔵野陵(むさしののみささぎ)の前に進み出て玉串を捧げ、深く拝礼された佳子さま。今回の参拝は、成年皇族となられた節目として行われました。
年始から公式行事へのご出席が続く佳子さま。4月には国際基督教大学に進学される予定です。
(「皇室ご一家」第1793回 平成27年1月25日放送)
