子牛の誕生日は長男と同じ

鹿児島県志布志市に4人の子育てと牛の生産に頑張る元保育士の女性がいる。そんな彼女が新たに挑戦しているのがサラブレッドの生産。牛舎の隣で始まった競走馬生産の奮闘ぶりと将来の夢を追った。

志布志市有明町にある牧場「持田ファーム」では、母牛32頭を飼育し、食肉用の子牛を生産している。この牧場を一人で切り盛りしているのが、5歳から17歳までの4人の子供を育てる持田郁美さんだ。

母牛32頭を飼育する持田ファーム(志布志市有明町)
母牛32頭を飼育する持田ファーム(志布志市有明町)
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取材当日の2026年1月7日はちょうど子牛が生まれたばかりだった。

「あれ、けさ生まれた」と持田さん。「生まれて6時間はたっていると思う。自分で歩いて動けるので」

子牛が生まれた1月7日は長男・剛紀くん(17)の誕生日でもある「うれしい。同じ誕生日だから大きくなると思う」と剛紀くんは笑顔を見せた。

ちょうど子牛が生まれた日に取材
ちょうど子牛が生まれた日に取材

保育士から牧場経営へ転身

持田ファームは15年前、削蹄師の夫・健太さんが母牛1頭から始めた。当時、保育士をしていた持田さんは、牛の世話は「手伝う程度」だったが、牛が4頭に増えた9年前、全国を回る夫に代わり、保育士を辞めて牧場の管理を行うようになった。

持田ファームは15年前、夫の健太さんが母牛1頭から始めた
持田ファームは15年前、夫の健太さんが母牛1頭から始めた

「私が牛の世話をしたほうが、主人が仕事しやすかった。家族のため。それだけ」と持田さんは語る。「実家に牛がいたので触れ合うことがなかったわけではなかったが、私が牛を飼いたいと思ったことは一度もなかった」

次女の暖乃ちゃんと次男の琳絆くんは生後2カ月の頃から持田さんと一緒に牛舎に入っていたという。持田さんの努力もあり、母牛は4頭から32頭に増え、現在は子牛18頭を飼育している。

次女の暖乃ちゃんと次男の琳絆くんも立派にお手伝い
次女の暖乃ちゃんと次男の琳絆くんも立派にお手伝い

サラブレッドへの新たな挑戦

そんな持田さんが、2025年から牛舎の隣で新たに挑戦しているのが、競走馬・サラブレッドの生産だ。きっかけは鹿屋市で競走馬の生産を行う長谷川和彦さんとの出会いだった。

「『飼ってみれば? 大丈夫だって』と口説かれたの」と持田さんは笑う。

持田さんと“師匠”の長谷川さん
持田さんと“師匠”の長谷川さん

持田さんは2024年、サラブレッド2頭の飼育を始めた。サラブレッドには子牛用の飼料を与えている。現在、長谷川さんから譲り受けたサラブレッドのジャムは妊娠中で、3月中旬に出産を控えている。

「未知の世界です。全然牛と違うので」と持田さん。

長谷川さんは「ここから死産だったり、生まれて3カ月以内の生存がけっこう大変」と競走馬生産の難しさを説明する。

競走馬生産の現状と夢

九州軽種馬協会によると、鹿児島県内の繁殖牝馬は約60頭で、2024年の県内での生産頭数はわずか35頭だ。しかし、競走馬の生産には夢もある。

鹿児島県大崎町で年に1度開催される九州産馬の競りでは、2024年、1頭あたりの平均価格が約390万円、最高価格は770万円で取り引きされた。

「若い子たちが徐々にここ4、5年の間に増えてますね。その代わり年配の方が辞めている感じ」と長谷川さんは県内の競走馬生産の現状を語る。

鹿児島県内で競走馬生産に取り組む若い人が増えている
鹿児島県内で競走馬生産に取り組む若い人が増えている

持田さんに夢を聞いてみると、「生まれて1年ここで養ってから九州産馬の競りに出す」「どなたかが買ってその馬がレースで走るのを見るのが夢です」と目を輝かせる。

「狙っているレースは?」という質問に「それはね、有馬記念!」と力強く答えた。

競走馬の生産は、レースで結果を残すと生産者にも褒賞金が入るという。競走馬の生産は活躍を見守る楽しみもあって、やりがいがありそうだ。

元保育士から牛の生産農家へ、そして競走馬の生産へと挑戦を続ける持田さん。午年の2026年、4人の子育てとサラブレッドの出産、そして育てた馬の有馬記念出走を夢見て、彼女の新たな挑戦へのゲートが開いた。

夢は大きく 有馬記念出走!
夢は大きく 有馬記念出走!

(動画で見る▶元保育士ママが競走馬を生産 サラブレッドにかける夢)

鹿児島テレビ
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