マイページ
気仙沼の中学生が車いすバスケに懸ける夢 「できない」から「できるかもしれない」へ 14歳の挑戦と作文に込めた決意|FNNプライムオンライン
追跡ニュース 記者の目

気仙沼の中学生が車いすバスケに懸ける夢 「できない」から「できるかもしれない」へ 14歳の挑戦と作文に込めた決意

Google ニュース プリファードソース

宮城県気仙沼市に、パラスポーツを通じて自らの殻を破り、大きな夢へと走り出した一人の少女がいる。
「あなた『にも』、そして私『にも』」。そんな願いが込められた総合型地域スポーツクラブ「nimo(ニモ)」を舞台に、車いすバスケットボールに情熱を注ぐ中学2年生、小野寺凛さんの挑戦を追った。

パリの衝撃が「できない」を「できる」に変えた

小野寺凛さん
小野寺凛さん
この記事の画像(10枚)

気仙沼市内の公民館。そこではボッチャを楽しむ高齢者や、車いすバスケに興じる健常者の小学生たちの姿がある。障がいの有無や年齢を超えてスポーツに親しむこの場所で、小野寺凛さんは2024年の秋から車いすバスケを始めた。

凛さんは先天性の病気により、両脚を動かすことができない。さらに治療の影響で、車いすバスケを始める前まで運動を制限されていた。そんな中、彼女の心を捉えたのが…

小野寺凛さん:
2024年のパリパラリンピックがきっかけです。
健常者のバスケみたいなスピード、自分で走ったり、自分でシュートを決めたりするのが、かっこいいなと思いました。

三浦秀幸さん
三浦秀幸さん

指導にあたるのは、クラブの代表であり、かつて日本選手権11連覇という金字塔を打ち立てた「宮城MAX」の元メンバー、三浦秀幸さんだ。指導を受け始めて1年2カ月。三浦さんは、凛さんの技術以上に「心の成長」を頼もしく感じている。

三浦秀幸さん:
プレーも積極的になって、前は静かに練習していたんですけれど、今はシュートが入ると大声で喜んだりとか、悔しがったりとか。
1年2カ月やってきて、凛さんらしさが出てきているかなと思います。

橋が繋いだ可能性と、学校生活のいま

凛さんの日常は、バスケットコートの外でも挑戦の連続だ。学校では体育以外の授業をすべて他の生徒と共に受けている。

同級生は「いつも明るいから、楽しいし、面白いです」と彼女を慕う。彼女がバスケを始めたことを知った際も、「めっちゃすごいと思いました」と素直な驚きを口にした。

送迎は母・真由美さんが行う
送迎は母・真由美さんが行う

校舎内での移動には、昇降機や先生の助けが必要だ。そして登下校を支えるのは、母・真由美さんの送迎である。

凛さんの自宅は気仙沼市の離島、大島地区にある。かつては船が唯一の交通手段。2019年に「気仙沼大島大橋」が開通したことも、今となっては彼女の活動を大きく後押ししている。

母・小野寺真由美さん:
(橋の存在は)大きいですよね。船の時間を気にしなくてよくなったっていうのが一番。三浦さんも来てくれるし、昔だったら考えられない、本当に。

作文に綴った「爆発し続ける熱量」

気仙沼周辺では、車いすバスケの競技人口はまだ少ない。そのため、練習は地道な基礎練習の繰り返しとなり、試合形式での実戦経験を積むのは容易ではない。それでも凛さんは飽きることなく、タイヤを焦がすような音を立ててコートを駆け抜ける。

そんな彼女の決意が、一つの形となった。中学生対象の作文コンクールで、宮城県1位となる優秀賞を受賞したのだ。
テーマは「わたしのチャレンジ」。そこには、スポーツを通じて得た「自己の変革」が綴られていた。

車いすバスケは、自分にとってただのスポーツではありません。『できない』と決めつけていた自分に、『できるかもしれない!』と思わせてくれたものです。障がいがあっても、自分の力で動いて戦って、夢を持つことができる世界。その存在に出会えたことが、私の人生を大きく変えてくれました。

最終目標は「パラリンピック」

2026年、凛さんの視線はさらに先を見据えている。1年前の自分を「下手だったな」と笑い飛ばせるほど、今の練習を積み重ねたい。
その先にある大きな目標を、彼女ははっきりと口にした。

小野寺凛さん:
パラリンピックです。

作文の結びには、彼女の今の思いを“熱量”に例えて、こう表現されている。

私の熱量は、車椅子のタイヤの音とともに、いつも全力で爆発し続けています。支えてくれる人に恩返しができる日まで。

彼女が放つ熱量は、コートを飛び出し、周囲の人々の心さえも動かし始めている。

 
  • 1
  • 2
関連記事
追跡ニュース 記者の目の他の記事
与論十五夜踊り465年 担い手減に挑む40歳「次世代へつなぐ」【鹿児島発】
与論十五夜踊り465年 担い手減に挑む40歳「次世代へつなぐ」【鹿児島発】
エンタメ
「蔵内氏に500万手渡した」 副議長就任に伴う金銭授受 民主系から初告白 指示したのは民主の元会長【福岡発】
「蔵内氏に500万手渡した」 副議長就任に伴う金銭授受 民主系から初告白 指示したのは民主の元会長【福岡発】
政治
鹿屋市の女性殺害、59歳の知人男を強盗殺人容疑で逮捕 「殺していない」と否認
鹿屋市の女性殺害、59歳の知人男を強盗殺人容疑で逮捕 「殺していない」と否認
社会
牛肉2.7トン・9033パックで等級偽る 水迫畜産の元取締役を詐欺罪で起訴【鹿児島】
牛肉2.7トン・9033パックで等級偽る 水迫畜産の元取締役を詐欺罪で起訴【鹿児島】
社会
一覧ページへ
仙台放送
仙台放送

宮城の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。

×