セクハラ疑惑を受けて辞職した福井県の杉本達治前知事について、県の特別調査委員会は7日午前、調査報告書を公表した。
報告書には、「キスしたいなぁとは思わないの!?」「二人きりでさしつさされつで楽しもうね」「レオタードを着て、おっきく足を上げて、ボンボンを持って元気に躍り回ることだと思うよ」「キスできたら安心できるかなぁ」「〇○ちゃんの後ろ姿は肉付きがよくて張っていて、とても好きなの」「ハグとチューをしていいってこと!?」など、前知事が複数の女性職員に送った“セクハラメッセージ”が詳細に記載された。
また、太ももや臀部を触るなどの身体的な接触を伴うセクハラも認定された他、執拗に飲食や暗に性的関係を迫っているとして、ストーカー規制法違反に抵触する可能性まで指摘されている。
1000通のセクハラメッセージ
杉本達治前知事は2025年11月25日、セクハラ疑惑を受けて知事を辞職すると会見で明らかにした。
その際、辞職を決めた理由や問題となった不適切なテキストメッセージについては、「若い頃から仕事仲間や親しい友人、親しい後輩にざっくばらんにずっと付き合ってきた。それは男性も女性もということだが、自分としては、軽口だとか、少しふざけたつもりで書いていたということが元々あったんだと思う。そういうことがセクハラだったんだということを強く認識した」などと話していた。
報告書によると、2025年4月に福井県の公益通報の外部窓口に「杉本知事から愛人になることを求めるような内容のLINEが複数回届いた」などの通報が寄せられ、杉本前知事や通報者、関係者への聞き取りを行ってきたという。
調査の結果、4人の女性が「被害者」と認定された。
報告書では、杉本前知事のセクシュアルハラスメントを裏付けるLINEやメールなどのテキストメッセージは約1000通に上ると認定された。
セクハラが行われていた時期については、杉本前知事が自治省(現総務省)から福井県の総務部長の勤務を終えた2007年以降、知事として勤務していた2025年までの長期にわたると認定した。
「まるっちい体型はかわいいよ」
4人の被害者に向けた発信された杉本前知事のセクハラメッセージいついて、報告書は「別紙」として3ページにわたりメッセージそのものを掲載しており、以下いくつか紹介する。
・愛してる(ハートマーク4個)
・二人きりの時は目をジーッと見つめ合い、指を絡め、唇と唇が…(目がハートの絵文字)
・〇〇ちゃんはぼくは見つめてる時にキスしたいなぁとは思わないの!?
・二人きりでさしつさされつで楽しもうね
・おはよう もう起きたの? それともおしっこ?
・もしドキドキしても良ければ、こっそりと二人きりで会わない?
・とっても失礼なお話だけど、ストレートに聞けば、〇〇ちゃんはエッチなことは好き?
・たまにはエッチなお話もしたかったです(ハート)
・性急すぎたし、肉欲が先に出た表現になったことは申し訳なく思っています。
・でもやっぱり〇〇ちゃんのお写真を希望します 送ってね
・まじめなお話、〇〇ちゃんはぼくのこと好き?
・甘えた~い
・〇〇ちゃんのまるっちい体型はかわいいよ
・だったら、ぼくの前で裸になることを想像すればいいんだよ
・欲は何事にも通じるから、あとはぼくに興味関心があるかどうかだけ
・ハグとチューをしていいってこと!?ありがとぉー
・ずっと愛する自信があるよ
・二人きりの秘密の世界をじっくりと他人には絶対に悟られないように楽しみましょう
報告書はこうしたメッセージについて「セクハラを裏付けるもの」と認定した。
太ももやおしりを…
杉本前知事のセクハラ認定はメッセージに留まらなかった。報告書は、身体的な接触をともなうセクハラもあったと認定したのだ。被害者の証言はこうだ。
杉本氏に誘われて断り切れず入った飲食店で、二人がけソファに横がけで座らされ、飲み物を頼んだ後すぐに、杉本氏が、「触っていい?」と言いながら、横から手を伸ばして私の太ももを触ってきたので、私が強く抗議し、杉本氏は手を放して「ごめんなさい」を繰り返し、私は飲食店を一人で出て帰った。
また懇親会の席で女性職員の両足の間に自分の足を入れて絡めてきたり、背後からスカートの中に手を入れて、太ももと臀部を触られた事もあったという。
杉本前知事は調査委員会の聞き取りで、「全く記憶にない」「触ったり意図的に足を絡めたりしたことはない」と述べたというが、報告書は、被害供述はいずれも信用性が高く、杉本前知事の話は「信用できない」と断じた。
杉本前知事「好意はあった」
杉本前知事は、調査委員会の聞き取りに対して、「被害者に対し申し訳ないという気持ちで一杯」「テキストメッセージを送った当時はセクシュアルハラスメントに当たるとの認識はなかったが、今回調査を受けてよく考えてみたらセクシュアルハラスメントであるとの認識に至った」「性的な関係を求めるようなテキストメッセージもあるが、相手に性的関係を求めていたのではない。自分の中で勝手に盛り上がり、そのようなメッセージを送ってしまった。男女関係を持つことを真に希望していたものではない」などと話したという。
また、「相手が同意すれば関係をもつとまでは断定できないが、好意はあった」とも述べたという。
心の底から気持ち悪かった
報告書に記載された被害感情は苛烈なものだった。
「知事という立場を利用して、物が言いにくい職員を相手に、人や様子を見て、嫌がる反応を楽しんでいるとしか思えず、非常に悪質であると感じた」
「ニュース等で杉本氏の顔を見るたび、心がざわついたり吐き気がする、表と裏のギャップがありすぎる」
「おぞましい」
「妄想癖でもあるのか」
「心の底から気持ち悪かった」
などの声が紹介されている。
セクハラは明らか
報告書は杉本前知事のメッセージについて、「いずれも、情報提供者に対するセクシュアルハラスメントに当たることは明らかというべきである」と断じた。
さらに、「キスしちゃう」「ハグとチューをしていいってこと?」「エッチなことは好き?」などという明らかに性的表現を用いたものが数多くあることや、セクシュアルハラスメントであることを自認する内容のものもあることなどに照らすと、杉本氏は、情報提供者に対するメッセージがセクハラに当たることを、「十分認識していたものと認められる」と認定した。
杉本前知事が、調査を受けてセクハラと認識したとの弁解について「信用することは出来ない」と認定した。
刑事事件の可能性
そして、「個人の特定を避けるため本調査報告書に掲げなかったものも含めた全てのテキストメッセージの内容を精査すると、本件調査事案の中には、被害者が明確に厳しく拒絶し、杉本氏も一度はセクシュアルハラスメントを認めて謝罪しながら、しばらくすると再び同様のメッセージを送り始めたり、執拗に飲食に誘ったり、暗に性的関係を繰り返し求めたりするものもあり、セクシュアルハラスメントにとどまらず、ストーカー行為等の規制等に関する法律(いわゆるストーカー規制法)に抵触する違法行為である可能性を否定できない」と指摘。
太ももを触るなどの身体的接触については、「刑法上の不同意わいせつ罪に抵触する可能性も否定できない」と強く批判した。
その上で、「杉本氏の責任は重大であると言わざるを得ない」と断じた。
被害者に何ら非はない
報告書は最後に、「被害者らには何ら非はないのであって、本件について論評するいかなる者も、被害者の詮索や、被害者らに対する侮辱、名誉棄損行為により被害者らをさらに苦しめることは許されないことを付言する」と指摘している。