香川に新たな食のブランドが登場した。
瀬戸内海で大量発生し、磯焼け問題の原因となっているウニに、あの特産品を食べさせておいしいグルメに変える。飲食店などが行う取り組みを取材した。
◆“もったいない”を解消し育った「白いウニ」 その秘密はうどん店から出る「廃棄うどん」
香川県を中心に飲食店を展開する「遊食房屋」が10月20日に販売を開始したのは新しいブランドウニ。その名も、「讃岐うどん雲丹(ウニ)」だ。
一般的なウニと比べて色が少し白っぽい「讃岐うどん雲丹」。その名前が示すとおり、讃岐うどんをエサに育てられたため、身が白くなったそうだ。
2年の研究期間を経て開発されたこの新ブランド、エサとして使うのは系列のうどん店から出る廃棄うどんだ。ゆでてから30分経ったうどんはフードロスとなるため、「もったいない」を解消しようとして始めたという。
◆共同開発に関わった多度津高校の卒業生「大変だったこそ、おいしく食べてもらえてうれしい」
開発には当時の多度津高校の生徒も共同で携わっていて、同校の卒業生は「大変だったからこそ、商品化されておいしく食べてもらえてうれしい」と語る。
今、温暖化などにより瀬戸内海にはムラサキウニが大量発生、海藻などを食べつくし魚の住みかが減少する「磯焼け」の原因として問題となっている。
◆ウニに廃棄うどんを食べさせ安定的にエサを与えると・・・
これまでは駆除してもエサがない場所で育ったウニは身が少なく食用として使えなかった。そこで、約2カ月間、廃棄うどんを食べさせ安定的にエサを与えることで、殻の中に3%程度しかなかった身が15%程度まで増加したという。
取材した記者が試食してみたところ、非常に濃厚かつクリーミーで、しっかりとした甘みも感じられておいしいということだった。
◆目指すは全国販売 廃棄されるはずの讃岐うどんを食べたウニの“将来”に期待
多度津高校の大坂吉毅教諭は、香川の名産といえば、讃岐うどん・骨付き鶏、そして「讃岐うどん雲丹と言ってもらえたら」と、新たな香川の食材に期待を込めて話す。
瀬戸内海の磯焼け問題とフードロスという2つの課題解決に向けた今回の取り組み。新たな香川の特産品となるのか注目です。
取材時は遊食房屋の丸亀店で限定販売を行っていた「讃岐うどん雲丹」。2年後には東京の豊洲市場などに出荷し、全国販売を目指しているそうだ。
(岡山放送)
