特別支援学校で音楽教師として働いていた40代の教師が、3年間休職し、「言語聴覚士」の資格取得に向けて奮闘している。約20年ぶりとなる学生生活に密着した。
週に6日の学校生活再び…
言語聴覚士を目指し、最前列で授業を受けているのは、三根真希子さん、41歳。
2024年4月、長崎県大村市にある長崎リハビリテーション学院・言語療法学科に入学した、2年生の専門学校生だ。
週に6日、20歳前後の同級生とともに、言語聴覚士の資格取得を目指して学校に通っている。
「教えていた生徒に脳性まひの子がいたので、あの子、こういうことだったのかとか分かることも多くて。すごくいい勉強になっている」と三根さんは語る。
教師から給料ゼロの学生へ
三根さんは、特別支援学校で音楽教師だった。
専門学校に通うため教師を辞めることも考えたが、「自己啓発休業」の制度を活用し、入学を決断。3年間、給与は無いが教師の身分は保たれるため再び教育現場に戻ることができるのだ。
言語聴覚士は、理学療法士や作業療法士と並ぶリハビリの主要3職種のひとつ。「話す」「聞く」「食べる」ことに関してのスペシャリストだ。言語や聴覚の障害をはじめ、言葉の発達に遅れがある人、食べる・飲み込むことなどに問題がある人やその家族をサポートする。
講義に実践…現場で生かすための授業
この日の授業は、脳性まひの子供の食事の介助だ。
まっすぐ座ることや食べるときに口を閉じることが難しいため、どう支援するかを学んでいる。
食事の介助をした際、子どもがむせてしまって申し訳ない気持ちになった思い出がある三根さん。当時を思い出しながら授業を受けた。
「ちょっと上を向いているだけで喉仏のあたりにすごく力が入ったり、飲み込むときに力を要する。首の動きを考えてあげるのがとても大事」と、講師は説明する。
説明を聞くだけでなく実践も。学生同士で口に食事を運び、量やタイミングを学ぶ。食事は命をつなぐだけでなく、家族や友人とのコミュニケーションの場でもある。安心できる声掛けはもちろん、首の角度、口の中の状態、スプーンを抜く方向や速さ、タイミングなど意識することは多岐にわたる。
「特別支援学校でもここまでしなかったので難しい。新しい知識にもなるし、こういうこと学んできたと言えるようになるかなと思うので楽しみ」と三根さんは話す。
20歳差の同級生から刺激を受ける日々
休み時間、クラスメイトと練習している三根さんの姿があった。
約20歳差、親子ほど年は離れているが、互いにいい刺激になっている。
クラスメイトは「三根さんは常に頼りになる。分からなかったらすぐ励まして教えてくれる」と、三根さんを頼りにしているようだ。
「記憶力の速度とか若い子本当にすごいので、スポンジみたいな吸収力発揮してるクラスメイトについていこうと思ったら、勉強その他、努力は3倍必要かなという毎日を送っている」と三根さんは語る。
教え子たちとの再会が力になる
三根さんは、2024年3月まで勤務していた川棚特別支援学校を訪れた。
年に一度の文化祭で、かつての教え子たちの発表を客席から見守る。
「三根先生~!」と抱きつく生徒たちとの再会に、自然と先生の顔に戻る三根さん。教え子たちの成長を肌で感じ、子供たちのために学びたい気持ちがさらに強くなった。
貴重な3年間の経験で子供たちにかけたい言葉は…
年が明け、いよいよ病院での実習が始まる。
春からは3年生となり、国家試験に向けて受験生モードに突入する。
「せっかく貴重な機会をいただいたこの3年間を、子供たちに『楽しかったよ』と伝えて、『だからみんなも進路選択のときに後悔しないようにね』とか、そういう前向きな言葉がかけられるような存在でありたい」と三根さんは語る。
41歳。教師を一旦休職し、新たなステージに立つため日々努力している三根さん。今後は、教師、そして言語聴覚士として、医療と教育の架け橋になるような仕事にも携わっていきたいと、新たな夢も抱いている。言語聴覚士の国家試験に向けて、頑張れ!三根さん!
(テレビ長崎)
