2020年に94年の歴史に幕を下ろし閉園した「としまえん」。東京都の職員に案内されながら現地へ行くと、広大な敷地は白い仮囲いのフェンスに囲まれていた。
敷地の中、フェンスから遠い場所にヤシの木が見えた。職員によると、家族連れでにぎわったとしまえんのプールに植えられたヤシの木がまだ残っているという。

としまえんの敷地の約半分は、閉園後、東京都が防災公園にするために購入した。未購入の土地には2023年からハリー・ポッターの体験型施設がオープンし、残りのエリアの一部が公園になっているが、将来的には敷地すべてが巨大な公園に生まれ変わる予定だ。
このエリアは、室町時代に豊島氏が築いた練馬城の城跡があり、都指定旧跡に指定されている。 1926年(大正15年)に城跡周辺の景勝地を生かした遊園地「練馬城址豊島園」が整備・開設され、城址の噴水や、ボート池等が作られた。

その後、遊園地「としまえん」として、昭和から令和まで、90年以上にわたり地域ににぎわいをもたらした。
そしていま、広域防災拠点・練馬城址公園として生まれ変わろうとしている。

5つのゾーンに分かれていて、花とふれあいゾーンは開園していて、遊具で楽しむ子供たちの姿がみられているが、子供たちが使うベンチなどにも工夫が凝らされている。
緊急時にシェルターになるあずまやや、かまどにもなるベンチ、災害時に使えるトイレなど、公園内にはさまざまな防災設備が整備されている。
また、これから整備されるエリアにおいても、緊急車両の出入口を設け、周辺の道路に沿って園路が併設されるほか、ヘリコプターが離着陸できる臨時ヘリポートも整備される予定だ。
敷地内で運営されている民間のスタジオツアーでも、防災用の備蓄や、有事の際の避難場所としての役割を担う。
練馬城址公園の整備は段階的に進められ、最終段階の全面開園まで約30年要するとみられている。
としまえんのシンボルだった古城の塔については、耐震性不足から取り壊しが決定されたが、往時の姿が継承できるようなデザインでエントランスの整備が進められる予定だ。
