山陰では赤貝と呼ばれる中海産のサルボウガイから規制値を超える貝毒が検出され、島根県は漁業協同組合に対し出荷しないよう自主規制を要請しました。

田淵木萌記者:
山陰のお正月に欠かせないサルボウガイですが、それが今食べられなくなるかもしれません。

島根県の発表によると中海で養殖されているサルボウガイについて本格的な出荷シーズンを前に検査を行ったところ国の規制値を超える下痢性の貝毒が検出されました。
下痢性貝毒は二枚貝がエサとして取り込んだ有毒プランクトンにより発生する毒で名前のとおり食べると下痢をおこすのが特徴です。

島根県は、サルボウガイを養殖している中海漁協に対して12月10日、出荷しないよう自主規制の要請を行いました。
中海漁協では2025年冬シーズンの出荷前だったため、10日時点で市場への流通はないということです。

しかし養殖する漁業者からは悲鳴です。

養殖業者:
1年3か月かけて生産している。小さい米粒の稚貝からここまで大きくするのに、今になって(出荷を)止められるのは非常に厳しい。

ここでは年間700キロから800キロを生産しているということで、突然の事態に困惑していました。
島根県内での貝毒の検出は1998年以来27年ぶりで、中海での検出はこれが初めてです。
島根県では、今後3週間の検査で全て規制値以下になれば出荷自主規制の要請を解除するとしていることから、2025年冬シーズンの出荷は早くても年明け以降になる見込みです。

中海漁業協同組合・岩田初組合長:
これで赤貝がダメということではなく、きちんと育てていて販売開始を待っているので、再開した時にはぜひみなさんのところに届けたい。

サルボウガイは、山陰では“赤貝”と呼ばれて親しまれ、特に出雲地方では、正月のおせち料理に欠かせない食材として古くから冬の味覚のひとつになっています。

ただ中海では、環境の変化から一時、漁獲が途絶え、養殖で復活はしたものの県内市場への供給は九州の有明産など県外産が大半を占める状況が続いています。

TSKさんいん中央テレビ
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