ただし、スペースがなかったり早く乾かしたい場合などは洗濯バサミでつるしてもいい。
「つるして干す際は上下の“向き”に注意してください。水を含んでいると伸びやすく、重たい腰部分を下にして逆さづりすると負荷が強くかかってしまいます。必ず腰を上にして干してください」
また、干す際は陰干しが必須。ポリウレタンは紫外線に弱く、劣化が進んで硬くなってしまうので注意してほしい。
膝が出たら蒸気を当てる
最後は寿命が短いストレッチパンツの応急処置的な方法をひとつ紹介。はいているうちに伸びた生地が戻らず“膝が出た”ままになってしまうことがある。
元に戻す方法はないのだろうか。
「洗濯後まだ水分を含んだ状態で平らな場所に置いて手でならしてあげてください。それだけでも効果があります。もし物足りない場合は乾いた後に裏返して膝部分にアイロンの蒸気を当ててください。熱と水分が加わった状態で手で平らにならすと戻りやすいです。それでもダメな場合は寿命かもしれません」
ちなみに、ビジネス向きのパンツは、脚の中心に“クリース”という折り目を付けていることが多い。
クリースは洗う度に薄くなっていくためアイロンがけが欠かせないが、ポリウレタンを使ったストレッチパンツは熱に弱いので要注意だ。
「劣化が進んでしまうので必ず当て布をするか、できればスチームを当てて手でならすだけに留めてください。スチームを当てる際はアイロンを生地に直接つけるのではなく、指3本くらい(5cm程度)離して当てるのが正解です」
快適で便利なストレッチパンツ。できるだけ長く愛用するためにも正しい洗い方、干し方を心がけたい。
神崎健輔(かんざき・けんすけ)
28歳で脱サラ後、現在は実家の老舗クリーニング店「白洋社」部長、IT企業の株式会社「クラスタス」CTO、全国どこからでも受注が可能な宅配ネットクリーニングサービス「Nexcy」を開発しCTOを務める。「クリーニング師」の国家資格を持ち、「洗濯ハカセ」として家庭でもできる洗濯・シミ抜き術を発信する洗濯のプロフェッショナル。
