関東で山火事が相次いでいますが、神奈川県の日向山では10日午後5時現在も延焼が続いています。
なぜ今、関東で山火事が相次いでいるのか元東京消防庁・特別救助隊の田中章さんに話を聞いていきます。
青井実キャスター:
神奈川県の日向山は山火事発生から丸1日以上たちますが、消火活動が難航している理由は何でしょうか?
元東京消防庁 特別救助隊・田中章さん:
住宅地と違って山間部は非常に急斜面で、道路が整備されていないので、消防自動車がなかなか入れない。消防隊員がなかなか近づけないということで、空中消火だけのヘリコプターに頼らざるを得ないんですね。
それと、消防水利が非常に不足しております。消防としては、水がないとなかなか消火活動ができない。
そして8日午前に発生した群馬県の妙義山の山火事は、2日たった10日正午前に鎮圧が発表されています。
青井実キャスター:
関東で何でこんなに山火事が発生していると思いますか?
元東京消防庁 特別救助隊・田中章さん:
東京から利便性が非常に高い、人気のある山がたくさんあるんですね。ですから山に人が入る傾向が非常に高いです。人が入るとどうしても火災が多くなります。
またこの時期、非常に空気が乾燥し、強風もあるので、火災の発生リスクは非常に高いと思っていただければと思います。
妙義山、日向山の山火事では、いくつか発生の共通点があります。
例えば、空気が非常に乾燥していること、日中に通報があったこと、観光客に人気の山であることや、近くに登山道があるという共通点が2つの山にはあります。
青井実キャスター:
こういったものを見て出火原因はどのようなものになりますか?
元東京消防庁 特別救助隊・田中章さん:
日本の林野火災のほとんどは人為的なものといわれています。最近非常に登山ブームになり、山に登ってコーヒー等をいただく方が多くなり、ポケットバーナーで火を使う機会がある。あとは、たばこというところが火災の原因ではないでしょうか。それが非常に多いと思います。
また、自然発火というのはなかなか日本では考えられない。200度以上にならないと自然的に発火しない。また雷等は今の時期は落ちないので、なかなかそれも考えられないと思います。
そしてこれから先、さらに山火事に注意が必要になってきます。
山火事の発生件数を見ると、12月から4月にかけて右肩上がりに増えているのが分かります。
宮司愛海キャスター:
田中さん、この理由はどう分析しますか?
元東京消防庁 特別救助隊・田中章さん:
行楽シーズンですね。山菜採りやハイキングがてらに低山や人気のあるスポットの山に多くの人が入っているということで、火災のリスクは非常に多くなっているのかなと思います。
宮司愛海キャスター:
時期的なものに加えて、そもそも山火事のリスクが高い山というのはあるのでしょうか?
元東京消防庁 特別救助隊・田中章さん:
登山道があって人気のある山、そういうところには人が集まります。また消防車が入っていけない、水がない。
切り立った山ですよね、今回の妙義山もそうなんですが、縦に切り立った山は、一度火が付くと、炎というのは上に上がる習性があるので非常に拡大する可能性があります。
また一方で、林業の衰退も考えられると思います。下草がなかなか刈っていない。間引きされていないというところも非常に考えられると思います。
青井実キャスター:
乾燥した時期が続くわけですが、これから注意すべきところはどういったところでしょうか?
元東京消防庁 特別救助隊・田中章さん:
山に火を持ち込まないことが一番大切かなと思います。火気厳禁というところももちろんありますが、バーナーとかを持っていくことがないように。火の取り扱いには十分に注意していただければと思います。