溝が深まる日本と中国の間で新たな火種となっている、中国軍による自衛隊機へのレーダー照射問題。

日中双方がお互いの主張を否定しあう展開となっています。

高市首相:
今回のレーダー照射は、航空機の安全な飛行に必要な範囲を超える危険な行為。

一方、中国側は「戦闘機の飛行訓練中に捜索レーダーを作動させるのは各国が通常行っている手法だ」と反論。

さらに、事前に公表していた訓練を日本側に妨害されたなどと主張しました。

これに対し、小泉防衛相は9日の閣議後会見で「遼寧の艦載機等の訓練海空域に関するノータム、これは航空情報と言われているものですが、このノータムや航行警報が事前に通報されていたとは認識しておりません」と否定。

すると、今度は中国軍が、海上自衛隊の艦船に事前に通告したとする音声を公開。

中国側とする音声:
こちらは中国海軍101艦。当編隊は計画通り艦載機の飛行訓練を実施する。

さらに、中国軍が「自衛隊機からのレーダー信号も感知していた」とも主張したのです。

これに対し、小泉防衛相が臨時会見を行い、再反論を行ったのです。

小泉防衛相:
中国海軍艦艇から海上自衛隊の護衛艦に関して飛行訓練を開始する旨の連絡があり、その内容を聞き取りました。一方、空母「遼寧」の艦載機がどのような規模で、どのような空域において訓練を行うのかという具体的な情報は自衛隊にもたらされておらず、また訓練を行う時間や場所の緯度経度を示すノータム=航空情報もなく、その結果、危険の回避のために十分な情報がありませんでした。

「危機回避のために十分な情報がなかった」と反論しました。

小泉大臣が言及した“ノータム”とは何か。
航空自衛隊で空将を務めた、麗澤大学特別教授の織田邦男氏は、「(例えば)軍がこのエリアで射爆撃訓練があるのでこの時間帯は入ってこないようにと、細かい情報、パイロットに対して危険を避けるための情報。今回(中国の通告)はノータムでもなく『訓練開始する』と言っているだけ」と説明します。

また小泉防衛相は、自衛隊機からのレーダー信号を感知したとする中国側の主張について、「その事実はない」と発言。
そのうえで「問題の“本質”は、我が方が対領空侵犯措置を適切に行う中において、中国側が“約30分にわたる断続的なレーダー照射を行った”こと」と述べました。

元航空自衛隊空将の織田邦男氏は「いつミサイルを撃ってもいいような状況を約30分間も継続するというのは国際常識としてあるまじきこと。どうみても挑発行為であり、威嚇行為」と指摘します。

一方、中国側が10日午後、外務省の会見で「事前通報を行った」と改めて主張したうえで、「日本側が論点をずらし、国際社会をミスリーディングしようとしている」と述べました。

こうした中、10日の国会ではこんなやり取りが…。

国民民主党・玉木代表:
いま中国が情報戦をやっている。改めて日米間の連携を一層強化してもらいたい。(来年)4月にトランプ大統領が訪中するが、その前に何らかの形でもう一度、日米首脳会談をやってほしい。

高市首相:
私がワシントンDCを訪ねてもいいし、トランプ大統領が海外に出たときでもいいので、できるだけ早期に会いたい。

悪化する日中関係。
解決の糸口となるのでしょうか。

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