消防団員や報道関係者など43人が犠牲になった雲仙普賢岳の火砕流で被災した車両が、長期保存に向け樹脂コーティングを施されることになりました。

被災35年にあたる2026年6月3日までに作業を終えようと、募金による資金集めを検討しています。

島原市の上木場地区です。

1991年6月3日の火砕流で43人が犠牲となった教訓を後世に伝えようと、消防と警察の被災車両が現地に残されています。

車両は建屋内にありますが、少しずつ劣化しています。

一方、報道陣の取材車両と報道関係者を乗せていたタクシーは、野ざらしのため劣化は急速に進んでいます。

7日、美術館や博物館の所蔵品修復にあたる「修復研究所21」の宮崎安章さんが視察に訪れました。

宮崎さんは、関東大震災の被災車両を樹脂コーティングで保存・修復した実績があります。

被災車両の長期保存へは、安中地区の住民や報道関係者が2025年8月に意見を交わして「保存する会」を発足し、今回、宮崎さんを招きました。

雲仙岳火砕流被災車両を保存する会 阿南 達也 会長
「できるだけ長く車体などを見せたいなと」

雲仙岳災害記念館 杉本 伸一 館長
 「元々はボンネットもきれいにありましたし、車体もしっかりしてたんですけども、年数が経つにつれもうボロボロに」

修復研究所21 宮崎 安章 さん
「まず早めにちょっと手を入れた方がよさそう」

宮崎さんは、定点の車両を10年放置すると、車両としての形をとどめないと指摘しました。

修復研究所21 宮崎 安章 さん
「さび止め専用のアクリル樹脂のコーティング剤があるんですけど」
「今回もそれを使ってコーティングして、さびの進行をなるべく遅らせようと考えてます」
 「本当に長く(災害の)記憶というか、記録を後世に残せるように」
 「モニュメントとしてしっかり残していくことが後世の人たちにとって大切なことなんで、そういうことが起きたかを伝えていくことが大切」

保存する会は、被災35年となる2026年6月3日に向け、募金を募り、劣化を防ぐ作業を進めると確認しました。

テレビ長崎
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