「満点ママ」から気になる情報をお届けするコーナー、今回は「ヒートショック」です。
若い世代も他人事ではない命に関わるリスクと対策を紹介します。
広島市安佐北区にある、築40年以上の一軒家。
この日の朝、暖房のきいたリビングの温度は23度。
そこから廊下を抜けて浴室へ向かうと・・・脱衣場は9度!
同じ時間、同じ家の中でもなんと14度の温度差があったんです。
実はその温度差が、ヒートショックの大きな原因です。
そう話すのは、心臓・血管の専門病院「広島ハートセンター」院長の木村先生です。
【広島ハートセンター 木村 祐之 先生】
「ヒートショックで亡くなられる方は、年間約1万7000人とも言われております」
ヒートショックが影響して亡くなる人の数は年間およそ1万7000人と推計されていて交通事故の6倍以上にもなります。
ヒートショックはどのようにして起こるのか、そのメカニズムがこちらです。
【広島ハートセンター 木村 祐之 先生】
「温度が急激に変化した時に、心臓や血圧が影響を受けて、負担がかかってしまって、病気になるっていうのが『ヒートショック』という現象です。急に寒い場合と、急に熱くなる場合の2通りがあるんですけど、例えば、お風呂に入ろうとして、急に寒いところに行くと血管がキュッと縮むと、中の血液量は一緒なんで、血管が縮むことによって中の圧力が上がります。そうすると、血圧がビューっと上がってしまうので、ドキドキドキドキして脳卒中を起こしたり、心臓が悪くなったり、心不全を起こしたりします。逆に、その後に寒いところから急にすごい熱いお風呂に入ると、今度は結構、血管がブワッと一気に広がってしまうので、血圧がストーンと下がって、頭の血も下がってしまって、失神したり、脳卒中を起こしたり、そのまま意識がなくなって溺水という、溺れて亡くなられる方もかなりの方がおられると思います」
急激な温度変化による血圧の変動が原因のひとつと考えられています。
では、何度以上の温度差で血圧に影響が出るのでしょうか?
【木村先生】
「一般的に10度以上の温度差があると血圧が急に上がると言われています。例えば、寒い玄関に急に出たり、朝起きてあったかい寝室から暖房がかかってない居間に出て着替えたりすると、やはりそういうことが起こったりすることはあると思います」
お風呂場のイメージが強いヒートショックですが、家のどこでもなりうることがわかります。
では、なりやすい人の特徴はあるのでしょうか?
【木村先生】
「基本的に、高齢者に多く男性に多いとは言われています。高齢者に多いのは、歳を取るたびにどうしても血管を硬くなってくるので、急に寒いところとか、あったかいところに行った時の血管の縮みとか対応力が落ちてくるので、例えば、硬い血管の中に急に血圧が上がってしまうと、ヒビが入って出血したりとか、そういうのが高齢者の方が多いと思います。男性の方が動脈硬化が進んでいるという意味で男性に多いと言われております。あとは若い人でも、日頃の日常生活が乱れていたり、睡眠不足、ストレスが多いとか、そういうのが原因の1つになるんじゃないかと思います」
自宅で出来るヒートショック対策、建物の断熱性能を高める方法について一級建築士の川端さんに聞きました。
【プレゼントデザイン 川端 順也 さん】
「メーカーさんが作っている内窓とか、結構お金がかかるものが多いんですよね」
【久保田 夏菜 リポーター】
「そのイメージありますね」
【川端さん】
「どこまで効果があるかっていうのもわからないなか、そこまでお金を出すのが難しいよって方もいらっしゃると思うんです。実はこれ、ホームセンターで買える『内窓キット』になっていて、表面が空気が入っているポリカーボネートになっているので、これ自身がガラスよりも断熱性能が高くて、枠のところも樹脂になっているので、うまく剥がれる両面テープで付けられれば、賃貸住宅にお住まいの方とかでも改善することができる。DIYが好きだよって方は、こういう形でチャレンジされるのもいいかなと思います」
ホームセンターなどで購入できる緩衝材は断熱効果も期待できるアイテムですが、貼り方の違いで、効果が半減することも。
でこぼこした面とツルツルした面、どちらをガラスに貼ったら効果的でしょうか?
【久保田リポーター】
「これは密着させた方がいいでしょうから、このツルッとしている方、凹凸がない方を入れ込む、こうじゃないですか?」
【川端さん】
「残念ながら間違いになります。ツルツルっとした方を窓につけちゃうと、このプチプチの出っ張ったところしか空気がないですよね。反対側に貼ってあげると、この空気のプチプチの出っ張っている方の間のところも空気層として働いてくれるので、断熱性能の効果は高くなります。もしその窓を冬の間も開けないよってことになれば、大体サッシの部分ってアルミになっているので、ここも被せて貼ってあげると結露がしにくくなると思います。窓の枠ごと覆ってしまえば二重窓に近い形になっていくことになります」
今すぐできるヒートショック対策に効果的なのが温度計です。
改めて、確認しましょう。
【川端さん】
「ダイエットと同じで、『見える化する』っていうことが結構大事だなって思うので、リビングとかは、結構、温度計が時計についていたりするかもしれないですけど、トイレ、脱衣室、洗面所に温度計を置けば、自分がどんなところで裸になっているのかっていうことが分かるかなと思います」
【久保田リポーター】
「ちなみにその温度計を置く場所、上とか下とかあります?ベストの場所?」
【川端さん】
「基本的に温度というのは上に行けば温かくなって、下は冷たいので、その中間領域、90センチぐらいのところがいいかなと思います。だから洗面所だったら、化粧台の上とかに置いていただいたらいいのかなと思います」
続いては、お風呂の入り方です。
半身浴と全身浴どちらがヒートショックを防げる入浴法でしょうか?再び木村先生に聞きました。
【広島ハートセンター 木村 祐之 先生】
「今の時期にお風呂に入るのであれば半身浴じゃないですかね。僕は患者さんには半身浴を勧めています。肩まで浸かると、肩から下の血管がバーッて一気に広がっちゃう。頭の血がどんどん下に降りていっちゃう。そして意識がなくなる。風呂を熱くしすぎないこと。40~41度ぐらいで、あと半身浴で。もちろん浸かってもいいですけど、浸かった後は急に立ち上がらないことが大事」
とはいえ、本格的に寒くなるこれから、温泉などで熱いお風呂に入る機会もありますよね。
そんなときの対策は?
【木村先生】
「熱い風呂に入ると一気血流がバーって末梢に流れる感じがすごいするんですよ。それで、末梢がバーっと開きますから、ブワーッて血が流れるから、足がポカポカになってきたと思ったと同時に、血圧が下がっていますからね。それを感じると逆に危ないかもしれないので。例えば入浴前にいきなりドボンとお風呂に入るんじゃなくて、ちょっと手足を温めてから入ると、そこまで急にヒートショックを感じないと思いますね。(ヒートショックの方を)第三者が見つけるとしたら、入っている時間の長さをちょっと注意してみるとか、もしヒートショックの症状の人を見つけた場合は、お風呂からすぐ出してあげて、意識があるかどうか確認して、意識が混濁していたり、『神経症状』といわれる要するに喋りにくいとか手足の動きが悪いとか、そういうのがあれば救急車を呼んだ方がいいと思います」