特集、シリーズ広島県警24時 第9弾です。
かつて暴走族と機動隊が衝突し、社会問題となった『えびす講』
“まつりのあと”の違反者に目を光らせる、自動車警ら隊に密着です。

自動車警ら隊が逆走車発見

【自動車警ら隊】
「ん?あれ逆走やろ」

サイレンの音が夜の道路に響く・・・

「運転手さん止まってください」

前方から突如現れた…逆走車!

【亀井繁幸警部補】
「運転手さん、逆走!」
【男性】
「逆走でした?」
【城山幸祐巡査長】
「どっから?」
【男性】
「トンネル抜けて」
【城山幸祐巡査長】
「びっくりした」
【亀井繁幸警部補】
「大丈夫?お酒飲んでない?ちょっとふーっとして」

三次市から広島市へ、ドライブに来たという男性。
土地勘のない場所を走っているうちに、いつの間にか反対車線に入っていたという。
そのまま逆走を続けていたら、大惨事になっていたかもしれない…

【男性】
「言われるまで(逆走と)気づかなかった」
【亀井繁幸警部補】
「対向(車)来んでよかったな。ほんま」

パトカーがサイレンを鳴らしながら走行・・・

「交差点右折します」

鋭い観察眼で、事故や犯罪を未然に防ぐ「広島県警・自動車警ら隊」

「止まりなさい。止まって、止まって…止まってもらっていい?」

職務質問をする警察官

【亀井繁幸警部補】
「自転車止めて?」
【女性】
「(自転車)盗ったって言いたいの?」

悪態をつく女性・・・

【亀井繁幸警部補】
「飲酒検知して数値が出れば」
【女性】
「どうしよう…」

職務質問に対して、違反者たちの反応は、さまざま。


“祭りのあと”の夜の繁華街に密着した。

先月、広島市の中心部で、3日間にわたって開かれた広島三大祭りの1つ『えびす講』の最終日。

多くの人でごった返す中央通り、この場所は…

今から26年前の1999年・・・

歩行者天国に集まった暴走族と県警の機動隊が衝突。
逮捕者が続出し、全国で注目される大騒動に…。
それを契機に、取り締まりの条例などが整備され、今では、騒動はほぼ見られないようになったものの、警察は毎年、祭り中やその後の、トラブルを警戒している。

歩行者天国が解除される午後10時・・・

広島市中心部に向かうのは、警ら隊一筋のベテラン亀井繁幸警部補(48)と昨年度配属された城山幸祐巡査長(28)

【亀井繁幸警部補】
「歩行者天国が解放されるんで、解除されるんで、いまから荒れるかなという事で」

若者のたむろや、もめごとが起きやすい遊技場の駐車場、人けのない路上を中心に回りながら、怪しい車や人がいないか、目を光らせる。

【亀井繁幸警部補】
「ちょっと、あれ行こう。揺れてるわ」

パトカーを降りて職務質問

【亀井繁幸警部補】
「車が若干揺れてたんで、お酒飲んでるかなって」
【女性】
「全然飲んでない」
【亀井繁幸警部補】
「(息を)フッと吐いて」
【女性】
「ハー」
【亀井繁幸警部補】
「コーヒーのにおいね。了解、若干揺れているように見えたんで、大丈夫ね」

次のパトロール地点に向かう2人・・・

【亀井繁幸警部補】
「中区行こう。中区方面行こう」

『えびす講』が終わって2時間以上、日付が変わった広島市中心部の繁華街、人通りは、まばら…懸念していたトラブルは、ない。
すると亀井警部補、路肩に止まっていた軽自動車に目を付けた。

【亀井繁幸警部補】
「こんばんは。防犯警戒で声掛けしております。危ないもの、持ってはいけないもの持ってないですか?こっちをえらい気にされてたんで、嫌そうに」
【男性】
「嫌じゃろ、そんなん見られて」
【亀井繁幸警部補】
「念のため聞くんですけど、護身用で刃物とか持ってない?」
【男性】
「ナイフくらいは…これって厳重注意になるん?」
【亀井繁幸警部補】
「(ナイフを車から)降ろしてくださいね。都度都度」

男性への注意の後・・・

【亀井繁幸警部補】
「魚を捌くためというか、しめるためのナイフで、釣り道具もあったんで、ちゃんとケースの中には入っていたので、すごく嫌そうにしとったんですよ。こっち見て携帯の口元動いていないけど、しゃべっているふりをしていたのでちょっと声をかけた」

(Q:それも見えるんですね)

「見えてますね」

観察力と対話力…そして、もう一つ、欠かせない技能がある。

こちらは、広島市佐伯区にある県の運転免許センター。
教習コースで行われていたのは、若手警察官が運転技能を身につけるための訓練です。

【県警本部 地域課 技能向上係 阿部 響 警部補(47)】
「みんな甘々になってきている。特に左の後方の確認はするクセをつけてよ」

指導するのは、県警本部 地域課 技能向上係の阿部 響 警部補。
若手に知識や技能を伝える県警の”指導員”に最年少の26歳で任命された県警屈指の”運転技能のエキスパート”です。

【阿部警部補】
「(細い道を通過する車見て…)よっしゃ!…結構難しいんですよ。訓練生も車の動かし方に慣れていないので、細い道も行かないといけない。事故も恥ずかしながら、パトカーのせいで事故も無きにしもあらずなんで、操縦能力を養ってほしい」

直線ではアクセルを強く踏んで、猛スピードで走行し、細い道や曲がりくねった道はスピードを抑えて慎重に。大事なのは、状況に応じた”メリハリのあるハンドルさばき”だといいます。

【阿部警部補】
「早く行くのは、当然のことながら、それを上回る安全ですよね。安全運転、確実に現場に着くというのが大事なんで」

阿部警部補の妥協なき指導が後進の育成を支え、県民の安全につながっています。

『えびす講』の後、広島市中心部を警らする亀井警部補と城山巡査長。

午前1時半ごろに歩道で見つけたのは…スマホを操作し、”ながら運転”をする女性。

【亀井警部補】
「こんばんは、止まって、止まって、止まって…止まって…」
【城山巡査長】
「止まりなさい」

気づいていないわけではない…無視をしている。

【亀井警部補】
「止まって、止まって、止まってもらっていい?」
【城山巡査長】
「なんしよん?」
【亀井警部補】
「なんで止まってくれないん?」
【女性】
「帰りたいから」
【亀井警部補】
「携帯電話していいん?」
【女性】
「え?見てない」

ながら運転を認めず、悪態をつく…。
しかも、繰り返す…。

【女性】
「罰金でしょ?」
【亀井警部補】
「注意はするけど」
【女性】
「払えばいいんでしょ」
【亀井警部補】
「あのね」
【女性】
「何円?何円?」
【亀井警部補】
「話を聞いて大丈夫?」
【女性】
「何円?早くして」
【亀井警部補】
「我々も言ったように再三の注意して止まらんかったら、切符も考えるけど」
【女性】
「はい」

財布から現金を取り出し…投げつけた。
それでも2人は冷静に、粘り強く対話を続ける。

【城山巡査長】
「まずお金を持って、1個ずつ進めていこう」
【亀井警部補】
「結論いうと、もうやめてね。携帯電話、自転車乗りながらね。やめてね。今後ね。気をつけてね」
【女性】
「じゃあねー、バーカ」

女性はそう言い捨てて、去っていった。

午前2時半・・・

50メートル先の視界に捉えたのは…自転車の女性。
パトカーに気づくや否や、自転車を降りて逃げるのを、2人は見逃さなかった。
女性は、酒を飲んだ後に自転車を運転していた。

【女性】
「前科つきますか?」
【亀井警部補】
「飲酒検知して数値が出れば」
【女性】
「どうしよう…」

女性は動揺し…泣き出した。

【亀井警部補】
「そんなに飲んだ?」
【女性】
「まじで飲んでない。本当にちょっと(運転しただけ)だったのに…」

パトカーの中で呼気検査を行った結果、基準値以上のアルコールは検知されなかった。

【亀井警部補】
「今回これを教訓として(飲酒後は)車とか自転車乗っちゃだめよ」


警らを終えて・・・・

【城山巡査長】
「(亀井警部補は)視野が広いと思いますね。遠くのほうをみて、反応に気づくので、そこらへんがすごい」
【亀井警部補】
「何かしら、やましいことがある人は、何かしら反応がありますので、それを見逃さないように、ちょっとした動きも気にして警らするようにしています。被害者を出さない。無念な気持ちを出させない」

豊富な経験の中で身につけた技能と情熱を、次の世代へ。
事件や事故を未然に防ぎ、”被害者を生まない”という強い信念のもと、自動車警ら隊はきょうも、県内のいたるところで、その目を光らせている。

テレビ新広島
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