今週1週間は「教育・学び」をテーマにお伝えします。
初日の今日は親世代が知っておくべきイマドキの大学受験です。
■大学入試シーズンに突入
【高校3年生】
「共通テストを乗り切るのが一番なので、ちゃんと点を取れるかなという不安はありま「インターネット出願が初めてでみんなでやったが、なかなかうまくいかなかった」
【受験生の親】
「大学受験の子ども親が初めてなのでいつからどういう準備をしたらいいのか全然わからなくて…」
シーズンに突入している大学入試。
年明けに向けての”緊張”や”不安”…、さまざまな声が高まる一方で…
【高校3年生】
「総合型で(決めた)。受験を早く終わらせたいと思って」
実は今、面接や小論文を中心にした総合型選抜の割合が増え、学校推薦型選抜と合わせると今年大学に入学した学生の半数以上は去年の年末までに進学先を決めていたんです。
高まる「年内入試」の勢い。
高校1年生、2年生の子を持つ親も必見!大学入試の最新事情を専門家と徹底解説します!
■親の世代と比べるとスケジュールが早い!
ではここからは「河合塾」で大学入試の動向分析をされている近藤治・主席研究員にオンラインで生出演いただきます。まずは近藤さん、大学入試も大きく変化しているんですね。
【河合塾・近藤治 主席研究員】
「親の世代と比べると、まずスケジュールがすごく早まっています。共通テスト、昔でいうセンター試験が親世代では、入試の始まりというイメージだったと思うが、今、大学入試は9月1日からスタートしていて、共通テスト、昔の大学入試センター試験は、もう入試の中盤あたりといったイメージでしょうか。
もうこの時期は、半分以上の私立大学の希望者、応募者は合格を勝ち取っている、そういう感じになっていますから、親にしてみると「えっ、そんなに早いの?」と、そういう状態だと思う」
近藤さんが2022年度の受験生をベースに比較した30年の変化ですが、まずは「子どもの数」が半減していますね。その一方で、大学の数は30年で1.5倍に増えています。
そして、現役大学進学率をみると親の頃は「19.2%」、大学合格が”狭き門”だったものがいまは半数以上が大学生になる、”広き門”になっています。
さらに、国のデータではいまの大学1年生は国公立私立あわせると53.7%が総合型選抜などで去年の年末までに進学先を決めていたんです。
■今は10人のうち9人が現役で入学
近藤さん、親子間のギャップは大きそうですね。
【河合塾・近藤治 主席研究員】
「親の世代というのは、実は30年ぐらい前になるかと思うが、一番大学入試が厳しかった時代なんです。当時は2人に1人が浪人をしていました。今は10人いたら9人は現役で入学しています。
それから選抜方法も、親の世代というのは、いわゆる教科試験、学力試験で選抜をするというのが主流だったが、今は推薦あるいは総合選抜では、小論文とか、面接を課しながら、どちらかというと、人物優先です。主体性や協調性、あるいは高等学校の学習状況、そういったものを中心に選抜をしていくというのが主流になっていますから、量的にも質的にも、大きく親の世代とは変化していると言っていいのではないか」
今、総合型選抜が増えているというのは少子化の影響が大きい?
【河合塾・近藤治 主席研究員】
「先ほどのVTRにもあったが、早く合格が決まる。ですから、大学にとってみると、学生を早く確保できるというメリットはあると思うが、一方で大学というのは、世の中が欲している人物を養成する教育機関ですから、世の中の欲する人物像が変われば、大学の教育内容も変わっていく。それに付随して、入り口である入試の形態も変わっていく、そういったことも考えられるのではないか」
現代社会においては0から1を生み出す力、新しい価値を創造する力や周囲を巻き込む力が大切になってくるわけですが、そうした部分が入試でも試されるということですね。
■人物優先と言いながら、最低限の基礎学力は必要
一方で、面接や小論文がメインだった総合型選抜や推薦に学力試験を加えることができるということが今年のトピックとしてはあるようですが、これはどういうことですか?
【河合塾・近藤治 主席研究員】
「人物優先と言いながらも、やはり最低限の基礎学力というものが必要だということが、一点挙げられるということと、今年から入試のルールが改正になり、これまで2月1日以降にしか、学力試験を課さなかったが、条件付きで、この年内入試にも学力試験を課すことができるようになりました。ですので、河合塾の調査では、約220大学を調査したところ、8割が年内入試で学力試験を課すという結果が出ていますし、おそらく来年以降は、もう少しこの数が増えるのではないか」
やはり年々変化がある中で親子間のギャップを理解して、どう埋めるかというのが親には大切になりそうですね?
【河合塾 主席研究員・近藤治 主席研究員】
「親は最低限の今の大学入試の知識というものは知っておいてほしいなと思うし、一番最悪なのは、30年前の自身の経験をもとにしたトンチンカンなアドバイス。これはちょっと避けていただければなというふうに思います」
大学選択における重要な指標というのは、この変化も踏まえて、どんなところになっていきそうでしょうか?
■大学選びを親子で話し合って
【河合塾・近藤治 主席研究員】
「先ほど言いました30年前の非常に大学入試が厳しい時代というのは、合格できるかどうかという目安、いわゆる偏差値というものが大きな大学選びの指標になっていたと思う。今でも偏差値というものは、有効な物差しではあるが、それ以上に、受験生が自分の自己実現をできるための大学がどこにあるのか、そういったことを親子でじっくりと話し合うことが大切。3年生は、もう目前に迫った入試に向けて最後の追い込みの時期だが、1年生、あるいは2年生は、まだ時間があるので。合格というのは通過点にすぎません。一番大切なのは、大学に入学した後になるから、そういったことを念頭に置きながら、大学選びというものを、ぜひ親子で話し合っていただければと思う」
親子で話し合いをする中で、興味関心がある分野を見つけて、そういう環境を親が与えてあげる、そういったところができればいいのかなと思いました。
近藤さん、ここまでありがとうございました。