ツイセキです。
社会インフラの老朽化が社会問題となる中、インフラ整備に不可欠な建設業の現場を支える新たな技術が、今、注目されています。
庄原市の山の中、道路建設の現場で作業するバックホウと呼ばれる建設機械。
よく見ると、操縦席には、誰も乗っていません。
操縦は、工事現場から、およそ100キロ離れた広島市内で行われています。
遠隔で操作する機材を搭載した移動式のDXオフィス車両。
この車は、広島市内の建設会社が、全国に先駆けて導入しました。
【鴻治組 土木設計部・福田兼章 次長】
「遠隔で操作できるモビリティーオフィスカーに操縦席を搭載したのは、これが初めてと聞いています」
建設業界のDX化。
労働人口の減少に対応する取り組みは、国土交通省と企業が連携してここ数年、急激な速さで進んでいます。
【国土交通省 三次河川国道事務所・横山洋範 課長】
「建設業界も省力化や生産性向上に努めていかなければならない段階になっている。遠隔操作までがとうとう入ってきたという感じで日々進化を感じています」
そんな最先端技術に触れるのは、広島工業大学の学生たち。
社会インフラを整備する建設業界の担い手です。
大学が、国土交通省や企業と連携して、共同授業を企画しました。
【広島工業大学工学部・大東延幸 准教授】
Q:土木業界のDX化のスピードは速い?
「ものすごく速いです。5年ひと昔どころか、3年ひと昔、1年ひと昔かもしれない。学生にも社会に出る前にそのような現状を見せてあげたいと思って」
興味津々の学生たちに見つめられながら、建設機械を遠隔で操縦するのは、森岡真由さん。
建設会社に勤務していますが、機械操作のベテランというわけではありません。
【鴻治組 担当技術者・森岡真由さん】
「これのために(操縦の)免許を取りました。(練習は)2週間くらいして、現地でも(土木作業車に)乗って、これ(遠隔機械)でも練習した。実際の重機に乗るのとこれに乗っている感覚は違うと思います」
最先端技術の導入により、安全で快適な環境で作業が可能になったことは、新たな労働力の確保につながります。
【鴻治組 担当技術者・森岡真由さん】
「遠隔で(操作する)ということは、今までなかったことだと思うので、それが現地に行かないでこんな身軽な格好で誰でもできるということはすごいことだと思う。こんな環境が整っているところで(作業が)できるということは、女性がやりやすい環境になっていると思います」
さらに、技術の進化で、働き方が大きく変化すると言います。
【国土交通省 三次河川国道事務所・横山洋範 課長】
「リモートワークという形で(現場から)離れたところで作業できるということは働き方が大きく変わってくると思う」
Q:子育てしながら働ける?
「場所と時間のコントロールが(以前に比べて)かなりやりやすくなると思うので、働き方は変わってくると思う」
Q:広島にいながら北海道の現場の仕事もできる?
「それも可能になってきます」
社会インフラの老朽化が社会問題となる中、インフラ整備に不可欠な建設業の現場を新たな技術が支えています。
【鴻治組 土木設計部・福田兼章 次長】
「この5年くらいは新しいものが入ってくるというイメージがあるんですが(今後は)もっともっと(進化が)速くなると思っています」
進化を続ける土木の今、そして今後を学生たちは真剣に考えています。
【講義に参加した学生】
「みんなでやるというよりも、1人で動かすことを見せてもらったので、新しいと思いました。(土木は)力仕事だと思っていたが、それとは違う場面を見られたので、ちょっとイメージが変わりました」
【国土交通省 三次河川国道事務所・横山洋範 課長】
「我々よりも若い人たちの方がすんなり入ってきているのではという感じを受けて、建設業界の未来を期待してしまう感じがありました」