進化するおいしい「養殖魚」

渡邊渚アナウンサー:
養殖のサーモンに、こちらには養殖のマダイ、そして養殖のブリもあります。

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東京・練馬区にある日本最大級の鮮魚店には、多くの養殖魚が並んでいた。ここでは、カンパチやヒラメなど、店内で売られている魚介類の約3割が「養殖」もの。

渡邊渚アナウンサー:
養殖のメリットってなんですか?

魚屋シュン 渡部博店長:
安定的に供給してもらえる。あとは、ほどよく脂がのっていておいしいですよね。

農林水産省の発表によると、2019年の日本の漁獲量は、1956年以降で過去最低を更新。そんな中、いま「養殖魚」に注目が集りつつあるのだ。

例えば、東京・渋谷区にある持続可能な「サステナブルシーフード」がコンセプトのお店でも…

シンシア 石井真介オーナー:
養殖魚の中でも、環境に優しい配慮をされて育てられた魚というのは、すごく未来があると思います。

環境に配慮して飼育された宮城県石巻産の養殖銀鮭を使った料理を出すなど、注目を集めている。

そこで今回の「スゴ撮」は、どのように育てていて、どれくらいおいしいのか、養殖魚の秘密を調査する。

デパ地下にズラリ 養殖魚は天然に比べ価格が安定

渡邊渚アナウンサー:
うわー!おいしそうなお刺身が並んでいますね~。

お魚屋さんの華ともいえる刺身の盛り合わせ。こちらは、本マグロの中トロ、シマアジ、マダイ、ヒラメの4点盛り。

魚屋シュン 渡部博店長:
これは全部養殖です。

渡邊渚アナウンサー:
養殖の魚がないと困る?

魚屋シュン 渡部博店長:
困りますね。やっぱり、安定的に供給されないと、こういうのも同じ値段で毎日お出しするということができなくなっちゃいますね。

さらに、東京・池袋のデパ地下にある鮮魚店で、天然魚と養殖魚の値段を比較してみると…

ブリは天然も養殖も3切れ980円、2切れだと天然は680円で、養殖の方は700円と価格はほとんど同じだったが…

北辰水産 池袋プラザ店 永沼秀和店長:
お値段に差はそこまで今日はないんですけど、やっぱり天候や気候によって、天然ものは入荷量によって(価格の)変動が激しいです。

そう、天然魚は多くとれた時は安くなるが、海水温の変化や台風の影響などを受け、価格の高騰や味に変化が出ることもある。一方で養殖魚は、年間を通して管理された環境で飼育が行われるため、比較的安定した値段で売り場に並ぶのだ。

エサにこだわり…徹底管理のマダイ飼育

では、養殖魚は一体どのような育て方をされているのだろうか?

実際にマダイを養殖している企業では、ビタミン・ミネラルを豊富に含んだ餌を与え、水中カメラで養殖魚を観察し、魚の成長具合や体調に合わせて、餌の大きさや種類・配合方法も変えているという。さらに…

ダイニチ 水産事業部 東京営業所 久保田勝さん:
30m~40m深いところに沈めることによって、大体3~4気圧くらい魚に負荷がかかります。そうすることによって、魚をモチッとした食感に仕上げることができます。

それにより味も安定し、季節に変わりなくおいしさを提供できるという。

“安定したうま味”を検証

そんな養殖魚、本当に味は安定しているのだろうか?科学の力で検証し、おいしさの秘密をスゴ撮する。

今回使用するのは「味覚センサー レオ」。甘味・うま味・塩味・酸味・苦味という人間が感じる5つの味覚を数値化する。

そして、検証するのは、養殖魚としての漁獲量も多いマグロ。部位は赤身だ。愛媛産・鹿児島産・高知産・三重産の4つを用意して計測してもらうことに。

その結果がこちら!

どの養殖マグロもうま味・甘味・塩味・酸味・苦味と、5つの味覚に大きな誤差がないことがわかった。

この結果を受けて、水産業に詳しい専門家は…

近畿大学 有路昌彦教授:
(養殖)マグロのエサは、同じことが多いですね。

マグロはエサとして、サバ・イワシ・イカなどを食べるのだが、養殖のマグロでは、身にうま味が出るようにこれらのエサを調整しながら与え、どの産地でも安定したおいしさが生み出せるという。

ちなみに有路教授によると、養殖のマグロの身を大きくしたい場合は、エサのサバを多く与えるとよいのだという。

渡邊渚アナウンサー:
養殖と天然の魚を食べ比べてみたのですが、ほとんど味が変わらずおいしくて感動しました!

(「めざましテレビ」『スゴ撮』10月19日放送分より)