12月スタートの1日、岩手県内では最低賃金が時給1031円に引き上げられました。
歓迎の声も聞かれる一方、経営者側からは「負担が大きく、県などによる継続的な支援が不可欠」との声も上がっています。

盛岡駅前では1日の朝、労働団体「連合岩手」のメンバーが道行く人にチラシ入りのポケットティッシュを配り、新たな最低賃金を周知しました。

県内の最低賃金は物価の上昇などを背景に、1日から1031円に引き上げられました。
県内の最低賃金が1000円を超えるのは初めてで、79円の引き上げ幅も過去最大です。

連合岩手 伊藤裕一会長
「賃金の引き上げが、実質賃金のプラスにつながっていくのではないかと。それを目標に、引き続き取り組みを強化していきたい」

県民からは様々な声が聞かれました。

19歳 大学生
「時給952円でバイトしていたので、それなりに給料が変わるのでうれしい」

60代
「もっと上げた方がいい。物価の上昇に追いついていない」

一方、強い危機感を示すのは県内の経営者団体です。
各企業が厳しい経営環境の中で引き上げの原資を確保するのは困難だと訴えます。

県経営者協会 藤田芳男専務理事
「これほど上がるとは思わなかった、というのが正直な気持ち。1年間でかなりの金額が上がっていくと経営が対応できない。労務費や人件費を生み出すのに間に合わない」

こうした状況を受け、県では時給を60円以上引き上げた中小企業を対象に従業員1人あたり最大8万円を助成する方針で、その費用を盛り込んだ補正予算案を議会に提出していますが、県経営者協会では一時的な補助では厳しいと訴えます。

県経営者協会 藤田芳男専務理事
「行政機関による本気の支援が必要。地域によっては雇用や労働形態の実態も違うということもあるので、そこは見極めた上で、丁寧な支援を継続してもらいたい」

今回の最低賃金引き上げを巡り、県内経済に詳しい専門家は人件費がかさむ企業側にとって負の影響は避けられないと話します。

いわぎんリサーチ&コンサルティング 沢田茂シニアマネジャー
「(企業側は)人材確保に向けて待遇面改善の必要に迫られる形で、人件費の負担が収益を圧迫している。今回の最低賃金引き上げが、企業の収益環境に一定のマイナス影響を与えることは不可避」

そのうえで、経営の見直しや業務の効率化を進める工夫が必要と指摘します。

いわぎんリサーチ&コンサルティング 沢田茂シニアマネジャー
「自社が取り扱う商品、サービスの付加価値を高めていく工夫を続ける。DX推進や生成AIの活用などの効率化など、最低賃金の引き上げを大きなきっかけとして、従来よりも筋肉質な経営を目指すことが大事」

岩手めんこいテレビ
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