大分県大分市佐賀関で起きた大規模火災は27日で発生から10日目を迎えたが、鎮火には至っていない。

佐賀関は関あじ・関さば漁で全国的に知られているが、漁の道具を製造していた地元の工場も今回の火災で被災した。


会社の社長は22日、工場の再開について「あきらめざるを得ない」とつらい心境を語ってくれた。

大規模火災が起きた大分市佐賀関は「関あじ関さば」で知られる町

全国的なブランド魚、関あじ・関さば。関さばは寒さが増すこれから旬を迎える。

この日、港には漁を再開した漁師たちの姿があった。

今後の影響について聞くと多くの漁師たちがある会社の名前を挙げた。

大分市佐賀関では漁を再開
大分市佐賀関では漁を再開
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ーー漁師
「漁師が一番困るのは『八潮工業』といって釣りの重りを作っているところが完全に焼けてなくなった」

ーー漁師
「昔から『八潮工業』があって、佐賀関の漁師は全部そこで重りとか釣り針を調達している」

ーー漁師
「(他に)業者があればいいけど『八潮』さんだけだから」

その会社とは、佐賀関で釣り針や重りなどの製造を行う八潮工業。

大分市佐賀関
大分市佐賀関

75年以上地元の漁を支えてきた漁具会社も被災「出るのは涙だけ」

八潮工業は今回の火事で自宅兼工場が焼けてしまったという。

八潮工業は佐賀関で75年以上地元の漁を支えてきた。3代目社長の木崎章二さんは、今回の被災について次のように述べた。「(市の送迎バスで)現地に行って見たが言葉が出ない、出るのは涙だけ」「もう荒れ野原というか、今まで見たものが無い。あるのは土、機械の残骸」

木崎さんは今後、会社を続けることは難しいと感じている。

八潮工業の木崎章二社長
八潮工業の木崎章二社長

「仕事はあきらめざるを得ない」「家が無い、機械も動かない」

ーー八潮工業木崎章二社長
「仕事はあきらめざるを得ない。もう家が全然無いし、機械も動かない、『新しく機械や設備』とかいう年齢じゃない」

情熱を持って取り組んできた仕事。

しかし、いまは仕事よりも生活の再建を考えなければならないと話す。

八潮工業の木崎章二社長
八潮工業の木崎章二社長

「これが人生なのかな、もう逆らえない」

ーー八潮工業木崎章二社長
「家が無事であればまだやるつもりではいたが、この状況になったらそれを許してくれない。これが人生なんかなという感じ。もう逆らえない、こういう状況というのは認めていかなければ仕方がない」

佐賀関が全国に誇る関あじ・関さば。

その漁を支え、地元に愛されてきた工場が被災したことは漁師町に大きな影を落としている。

大分市佐賀関
大分市佐賀関
テレビ大分
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