ひとみさんの自宅近くの駅に…

自宅への最短距離の駅ではなく、ひとみさんの最寄り駅を使うと言った事について、原告の高橋さんは、ひとみさんの最寄り駅を使ったのは事実だが、たまたま帰り道が一緒であっただけと主張。

ひとみさんの自宅を特定する意図は無く、ひとみさんが「自宅を特定されて高橋さんが自宅に来るのではないかと感じた」と会社に伝えたのは「内容虚偽」だと主張した。

その上で、ひとみさんは自分に好意的な態度で接していたのであって、自分の言動を不適切だったとするひとみさんの被害申告には根拠がないとも主張した。

高橋さんは、これらの出来事について被告が虚偽のハラスメント相談をしたため、結果的に自身が業務から外されるなどの損害が生じたと主張。治療費など計600万円超の損害賠償を求めた。

親密関係か、社交辞令か…

さらに高橋さんは、過去のひとみさんの言動に違法性があるとも主張した。

2023年8月には、ひとみさんが会食後に「スナックひとみに来てください」と発言。さらに、10月に行われた高橋さんの誕生会では、「昼夜問わず濃厚なお時間を過ごせますと幸いです」と書かれた手紙を渡したという。

また、2024年2月にはバレンタインデーにワインを贈られたことや、旅行土産を受け取ったことなどを挙げ、「業務上不要な親密さを求める違法な行為」であり「自分を不快にさせる行為」として違法であると訴えた。

一方でひとみさんは、過去の贈り物や発言については、「すべて社交辞令で、業務上の関係を円滑にするためのもの」と説明し、違法性を否定した。

裁判所「不法行為は成立せず」

東京地裁はまず、「スナックひとみ」という発言については、ひとみさんがスナックを開業していなかった以上、高橋さんの「スナックひとみに行きたい」との発言を、ひとみさんの自宅で飲み直したいという趣旨と受け取ったことは「不自然、不合理とはいえない」と判断した。

東京地裁
東京地裁

また、ひとみさんの最寄り駅であるB駅の利用についても、A駅で帰る方が自宅に近いことは事実であり、高橋さんがあえてB駅を選んだ理由は不明であり、ひとみさんが「自宅の場所を特定されるのでは」と不安を抱いたことも「不自然・不合理であるとは認められない」と認定した。

以上の判断から、ひとみさんが会社に対して虚偽の相談をしたとは「客観的事実として認められない」との結論だった。

さらに、ひとみさんの過去の言動についても、不快の念を抱かせたものとして違法な言動であったとはいえず、「せいぜい社交辞令というにとどまる」とし、違法性を否定した。

判決は、ひとみさんの会社への申告や言動はいずれも不法行為に当たらないと結論づけ、原告・高橋さんの請求を全面的に退けた。当然認定金額はゼロ。訴訟費用は原告負担とされた。

プライムオンライン編集部
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