東北電力は20日、東通原子力発電所(青森県)で防護設備の性能試験を実施しないまま“実施済み”として記録していた不適切な取り扱いが、長期間にわたり繰り返されていたことを会見で明らかにした。

同発電所では、立入制限区域や周辺防護区域への侵入を防ぐ監視装置の性能試験および保守点検(警報表示機能確認)について、試験・点検の一部または全てを行わず、実施済みとして記録を作成していた。性能試験では2018年度以降、保守点検では2013年度以降、不適切な取り扱いが複数年度にわたって行われていた。

今年6月12日、原子力規制庁が検査した際、2024年度の性能試験記録の多くが「2025年3月25日」と記載されていることが判明。担当者への確認で「回数を省略して実施した」との説明があった。翌13日に警報発報記録と照合したところ、発報回数が不足しており、不適切な記録作成が判明した。

その後の調査で、過去の性能試験記録に加え、保守点検の一部でも同様の不適切な記録が確認された。

東北電力は、これまでの日常点検や年1回の定期点検により、設備の性能や機能に問題はなかったとしている。また、事案判明後、すべての核物質防護設備について再度の性能試験と保守点検を実施し、原子力規制庁が7月9~11日に行った臨時検査でも、設備の機能に問題がないことを確認したという。

不正侵入などの事象はこれまで確認されていない。

東北電力は再発防止策を策定し、9月24日に原子力規制庁が内容を確認。再発防止策は同30日までにすべて実施したとしている。また、女川原発では同様の事案は確認されていないと説明している。

仙台放送
仙台放送

宮城の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。