秋田・仙北市西木町上桧木内で旅館と食堂を営む「なか志ま旅館」が11月10日、営業を再開した。8月の大雨で近くを流れる桧木内川が氾濫し、床上浸水の被害を受けて休業していたが、ボランティアや地域住民の支援を受けて復旧を進め、約3カ月で再開にこぎつけた。
苦難の復旧作業経て復活へ
2025年8月19日に秋田県内に降り始めた大雨。翌日、仙北市西木町を流れる桧木内川が氾濫し、上桧木内地区でただ一つの旅館と食堂を営む『なか志ま旅館』は床上70センチまで浸水する被害を受けた。
浸水直後から、厨房の床を剥がして泥をかき出す作業が続いたが、地域住民やボランティアの協力が大きな力となり、当初の予定より早い再開を実現した。
被害を受けた後、しばらくは旅館を見ることができなかったという女将の中島勝子さんも今は、「みんなが気軽に来られる場所にしたい」と前を向く。
イベントで自慢の料理提供
10月には仙北市社会福祉協議会のイベントで料理を提供。
かつ丼や焼き肉丼など用意した150食はあっという間に完売し、訪れた人々から「勝子さんの料理を待っていた」との声が寄せられた。
被災直後から支援に入った日本赤十字東北看護大学介護福祉短期大学部(秋田市)の及川真一さんも「ママの頑張りだ」と中島さんの努力をねぎらった。
再開の日 店内にあふれる笑顔
再開当日、食堂にはラーメンやかつ丼など10種類のメニューが並び、待ちわびた客が次々と訪れた。
「どのくらいお客さんが来てくれるのか」――数日前に中島さんが口にしていた不安をよそに、店内はあっという間に満席状態。中島さんの料理を頬張る人の笑顔でいっぱいになった。
「ここは憩いの場所」「料理がおいしい。復活して良かった」と喜びの声が広がった。
感謝を胸に新たな一歩
「みんなのおかげでここまで来た。私1人では何もできない」と語る中島さん。災害ボランティアや地域住民など、復旧を支えてくれた多くの人への感謝を胸に厨房に立っている。
食堂の営業日は月・火・木・金の午前11時から午後2時まで。旅館も再開し予約が入り始めている。
支援を続けてきた日赤東北看護大短大の及川さんは「ここからがスタート。仙北市の復興を多くの人に知ってもらい、町の再生・復興を見届けてほしい」と呼びかけている。
(秋田テレビ)
