劇団四季ミュージカル『オペラ座の怪人』が福岡市で21年ぶりに上演されている。日本初演以来、総観客動員数810万人を超える人気作品だ。観客を惹きつける作品の奥深い魅力や舞台の裏側について、ラウル・シャニュイ子爵役を演じる宇都宮千織さん(宮崎県出身)や舞台監督の田邉勇年さんに話を聞いた。

 劇団四季『オペラ座の怪人』21年ぶりの福岡公演

劇団四季ミュージカル『オペラ座の怪人』が福岡市・キャナルシティ博多のキャナルシティ劇場で上演されている。

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 福岡での上演は実に21年ぶり。1988年の日本初演以来、日本での上演回数は8,000回以上、総観客動員数は810万人以上を誇る劇団四季の人気作品だ。

物語は19世紀のパリ・オペラ座を舞台に、華やかな劇場の地下に棲む怪人と歌姫クリスティーヌの悲しいまでの愛を描いている。

 宮崎出身・宇都宮千織、ラウル・シャニュイ子爵役を演じる

キャナルシティ劇場での『オペラ座の怪人』福岡公演には、1回の公演につき総勢70人近くのキャストやスタッフが関わっている。

 万全のコンディションで舞台に臨むため、出演者は開演の2時間半前にはリハーサル室に集まり、全体でバレエや発声を行う。

その一人、宮崎市出身の宇都宮千織(ちおり)さん(28)。

宮崎学園高校で声楽を学び、合唱部での活動を通して歌う楽しさに惹かれていった。高校時代に福岡で『キャッツ』を観劇し、俳優を志したという。

高校卒業後、2016年に劇団四季研究所に入所。1年間の研究生期間で歌、演技、ダンスの基礎を学んだ後、俳優としての活動を始めた。

 『オペラ座の怪人』福岡公演で宇都宮さんが演じるのは、若き貴公子「ラウル・シャニュイ子爵」だ。歌姫クリスティーヌの幼馴染であり、怪人の恋敵となる物語の要の人物である。

宇都宮千織さん:
歴史ある作品のメインキャストを演じることには、とてつもない責任感を感じています。毎日同じクオリティを保ち続けることが全てだと思っています。半年間、毎日同じ作品を演じますが、俳優にとっては数百回公演のうちの1回でも、お客様にとっては大切な一日です。だからこそ、ムラなく演じきることを心がけています。

 観客を魅了する舞台開演

いよいよ『オペラ座の怪人』が開演する。

約1000席の劇場は満席となり、観客の期待が高まる。

 次々と印象的なシーンが展開され…

悲しい恋の行方は観客の心を揺さぶる。

 そして、盛大なカーテンコール。

宇都宮千織さん:
カーテンコールは、お客様の顔がはっきりと見える瞬間です。時には涙されている方、あるいは盛んに手を振ってくださる方もいらっしゃいます。今日一日の本番の疲れが、その瞬間に一度吹き飛ぶというか、今日をやり抜いてよかったと心から思える瞬間ですね。

遠方から観劇に訪れる人も多く、「バレエの踊りやオペラの要素が素晴らしかった」(宮崎県から)、「ストーリーがとても素敵で、舞台装飾やキャストの衣装がさらに魅力を増していた。何よりも歌唱力が素晴らしく、本物の歌を聴かせてもらったような気持ちになった」(長崎県から)、「劇団四季が作り出す世界観への没入感がすごく、感動して涙が出た」(神奈川県から)といった声が聞かれた。

観客を魅了する舞台美術のこだわり

観客を物語の世界へと引き込むのは、19世紀のパリ・オペラ座を再現した豪華な舞台セットだ。

公演後、宇都宮さんがそのこだわりを紹介してくれた。

宇都宮千織さん:
劇場に入ってまず目に飛び込んでくるのは、舞台を額縁のように飾る装飾「プロセニアム・アーチ」です。これを見るだけで、一瞬にして19世紀のパリ・オペラ座にいるかのような感覚になります。当時の色を忠実に再現するため、金色と銅色が混ざり合ったような「パンプキン・ゴールド」という特殊な色が使われています。

そして、この作品の象徴といえば、頭上で煌めくシャンデリアだろう。

劇中には、このシャンデリアが頭上8mの高さから落下するシーンがあり、『オペラ座の怪人』の代名詞ともなっている。 

シャンデリアについて、舞台監督の田邉勇年さんに話を聞いた。

舞台監督 田邉勇年さん:
シャンデリアの2万4,000個ものビーズは、一つずつ小道具スタッフによって手作業で取り付けられています。

音に合わせて美しく落下すること、そして「ガシャーン」という音をリアルに再現することにこだわっています。お客様に大きなインパクトを与え、ラウルとクリスティーヌが恐怖におびえる様子を実際に感じていただけるよう、工夫を凝らしています。

特別に、シャンデリアの真下の席から落下の瞬間を体験させていただいた。

今栖ディレクター:
迫力がすごくて、色も音も近くに感じられて驚いた。ぜひこの場所で体験してほしい。

 妥協なき床山スタッフ

また、注目すべきは舞台美術だけではない。

宮崎市出身の床山スタッフ、山田梨香子さんは「今日公演で使ったクリスティーヌのかつらをメンテナンスしています。汗でカールが落ちやすいので、一本一本、毎公演、丁寧に巻いています」と話す。

 『オペラ座の怪人』1回の公演には、約70枚のかつらが使われているという。

山田梨香子さん:
バレリーナのかつらの場合、同じ髪型でも全員異なる色にしています。1人1人のキャラクターの性格や、お客様にどう見えてほしいかを想像しながらセットやメンテナンスをすることで、その気持ちがお客様に伝わるのではないかと思っています。

舞台に関わる一人一人が細部まで追求して作り上げた作品は、観る人の心を強く惹きつける。

宇都宮さんが語る覚悟と『オペラ座の怪人』の奥深い魅力

宇都宮さんは、芝居も歌も踊りもゴールがなく、どこまでも上達できるし、正解もないと語る。

宇都宮千織さん:
夢を叶えた喜びというよりも、覚悟が決まったという感覚です。この厳しさの中で「自分が今後もやり抜けるか」という地点に、今立っていると感じています。

宇都宮千織さん:
『オペラ座の怪人』は余白の部分が多い作品です。不思議な終わり方をしますが、その後どうなったかはお客様に委ねられている部分もありますし、絵画を鑑賞するのと一緒だと思います。それぞれの人が多様な感想を持つように、答えがないことが魅力だと考えていますので、ぜひそれを楽しんでいただきたいです。

劇団四季ミュージカル『オペラ座の怪人』福岡公演は、福岡市のキャナルシティ劇場で2026年4月5日まで上演される。細部にまでこだわりが詰まった舞台を、ぜひ劇場で体感してほしい。

(テレビ宮崎)

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