2025年は卵の価格が全国的に高騰しています。JA全農たまごによる東京都の取引相場は、11月18日時点でMサイズ1kgあたり345円。2024年より65円高く、2025年は「エッグショック再来」との声も聞かれます。
クリスマスを前に洋菓子店は厳しい対応を迫られています。
総務省が、Lサイズの卵1パックの値段を、全国のスーパーで調査した結果のここ5年間の価格推移を見てみると、2023年に急に上がっています。
それまでは220円から230円の間で推移していましたが、2023年に入ると鳥インフルエンザの流行で卵の入荷量が減り、著しく値段が上がりました。
全国平均は300円を超え、当時「エッグショック」と言われました。
2025年はその時と同じくらいの印象で、「エッグショック再来か」と言われています。
2025年8月と9月の卵の値段の全国平均は308円で2023年7月に並び、過去129年間で最も高い値段です。
一番安かった時期の217円とは91円の差があります。
値上げの要因として大きいのは、鳥インフルエンザです。
昨シーズン、県内でも高病原性鳥インフルエンザが5件確認され、120万羽以上が殺処分されました。
そのうえ、夏の猛暑の影響で全国的に生産量が減ったことが原因だということです。
卵の価格高騰の影響が懸念されるのは、毎日大量の卵を使う洋菓子店です。
クリスマスシーズンを迎える岩手県盛岡市内の店では、厳しい状況の中でも身を削る覚悟で商品を販売しています。
盛岡市の洋菓子店・パティスリールナールでは、16日からクリスマスケーキの予約の受け付けを始めました。
定番の生クリームのケーキ5号サイズの値段は税込み5500円で、2024年から500円の値上げです。
パティスリー ルナール 館澤秀仁オーナーシェフ
「(値上げは)1割弱くらいですかね。でも実際のところ、原材料が1割上がっているわけじゃない」
原材料の高騰は卵だけでなく、ほかの材料にも及んでいます。
チョコレートの価格は最も安い時期から3倍ほどになっていて、これを踏まえれば本来商品は3割から4割ほどの値上げが必要ですが、常連客も多いこの店では地域の人に喜んでほしいという思いから、値上げ幅を1割ほどに抑えています。
1日に50個ほど使うという卵。
材料を無駄なく使う工夫をして、日々商品を作っているということです。
パティスリー ルナール 館澤秀仁オーナーシェフ
「(材料の仕入れに)困ってはいるが、ないわけではない。抑制しながらやっている」
クリスマスケーキの予約受け付けは12月14日までで、今後卵の値上がりが続いたとしても、店では身を削る覚悟で商品の販売を続けます。
パティスリー ルナール 館澤秀仁オーナーシェフ
「好きで通って買って食べて『また食べられてよかったな』というか。こっちも感謝するし、お客さまも『この店があってよかったな』と感謝し合うようなことになればいいなと」
原材料費の高騰を受け、店では材料を他のものに変えることもあるそうですが、試作をして確認し、商品の質が落ちないよう気を配っているそうです。
卵の価格に影響する鳥インフルエンザは、冬場にかけて発生が本格化すると言われています。
卵が食卓に欠かせない食材であるだけに、安定供給を祈る声は一層強まっています。