宮城県栗原市は目撃が相次ぎ、人的被害も発生していることを受け、柿や栗の木の伐採などの緊急対策を進めることを決めました。

栗原市は11月18日、クマに関する緊急の対策会議を開き、現状や対策について議論しました。

栗原市の今年度のクマの出没件数は397件で昨年度の6.3倍、捕獲頭数は88頭で昨年度の3.6倍となっています。

市は18日の会議で、緊急の対策として箱わなを増やすことや、柿や栗の木を伐採すること、猟友会のクマ捕獲時の謝礼を1頭当たり5000円から2万円に増額することなどを決めました。

栗原市 佐藤智市長
「まずは本日決定した、この対策事業を速やかに実行することが一番だと思っています。それから引き続き、市民の皆さまには色んな形で安全安心を呼びかけてまいりたいと思っています」

栗原市では10月3日、キノコ採りをしていた75歳の女性がクマに襲われ死亡し、一緒に来ていた別の70代の女性が今も行方不明となっています。

警察は行方不明の女性の捜索について二次被害を防ぐため、主にパトカーからの捜索を続けていましたが、11月13日に山の中での捜索を実施していたことが分かりました。

一方で、手掛かりは見つからず、次回の捜索についても「未定」としています。

宮城県内で相次ぐクマの目撃や被害。自治体間で連携して対策を進める動きもあります。

県猟友会塩釜支部は18日、管轄の2市3町の職員などを集め、「緊急銃猟」に関する“共同マニュアル”の検討会議を開きました。

今年9月から始まった「緊急銃猟」は、クマが市街地に出没した際、自治体の判断で発砲を可能とするもので、緊急時に迅速に対応できるよう、市町村は個別にマニュアル整備を進めています。

一方で、塩釜支部管内で作成を終えていたのは利府町と松島町のみで、今回、2市3町で共同のマニュアルを作成することになりました。

県猟友会塩釜支部 鈴木一郎支部長
「行政区の境は接しているので、一緒に対応したら良い」

共同マニュアルでは、市町の境でクマが出没した際に連携して対応することや、住民の避難が必要となった場合は、職員を派遣する案などが盛り込まれました。

塩釜市産業建設部 大泉祐樹専門主査
「鳥獣捕獲に関する知識や経験、知見があまりないもので、そちらが一番ネックになっていた。2市3町が足並みをそろえて協力して取り組んでいける」

猟友会などは、共同マニュアルの運用を年内に始める方針です。

県内では11月に入ってもクマの目撃が相次いでいて、県の集計によりますと、18日午後4時時点で471件となっています。引き続き十分にご注意ください。

仙台放送
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