タッチ決済とSuicaのデッドヒート来年春、いよいよ決戦へ。
今まで、鉄道の改札口はSuicaシステムの独壇場だった。
そのSuicaの立場を脅かしているのが、クレジットカード等のタッチ決済による後払い乗車サービスだ。

タッチ決済側は2026年春以降、本格的なサービス提供を開始すると発表。対するSuicaもタッチ不要で改札を通過できるウォークスルー改札や2026年秋から新たなコード決済サービスを開始するなど、タッチ決済側に対抗する形でSuicaの進化版となる次世代サービスを相次いで発表している。

両者にとって本格的なバトルはタッチ決済のサービスが大幅に拡充される2026年春以降とにらんでいる。

2026年春以降、何が変わるのか?クレジットカード等のタッチ決済による後払い乗車サービスは、東京メトロで2025年3月から導入されるなど首都圏の私鉄でも利用できる駅数が急拡大している。

このサービスの特徴は、事前購入不要、現金不要、チャージも不要な点。
クレジットカードさえあればそのまま乗車できる。

ただ、現時点での限界は、相互利用ができない点だ。
現在は、東京メトロなら東京メトロで乗り降りしなければならない。

それが2026年春以降、首都圏の鉄道事業者11社局の路線を対象に相互利用ができるようになるのだ。

ちなみに、クレジットカードのタッチ決済パネルが、Suicaのタッチパネルより前に設置されているのには理由がある。

Suicaの読み取りにかかる時間は0.2秒だが、クレジットカードの読み取りにかかる時間は0.25秒から0.35秒。

このわずかの時間差があっても、改札口をスムーズに通過できるよう絶妙な位置にタッチパネルが配置されているのだ。

もう一つ、Suicaとタッチ決済サービスの違いは、Suicaは、Suica自体が計算を行うが、タッチ決済はクレジットカードは計算せず、サーバーが計算する仕組みとなっている。

いずれにせよ、相互利用ができるようになれば、クレジットカードで鉄道を利用する人が増えることはほぼ確実とみられている。

特に外国人観光客にとっては利便性が大幅に改善される。

どこの国へ行っても鉄道を利用する際、運賃の計算や、購入方法などが難しかった経験は誰にでもあると思うが、クレジットカード1枚で利用できるようになれば、公共交通機関の利用が格段に楽になる。

Suicaは、国内では有名だが海外では普及されていない点でも外国人観光客にとってメリットは大きいといえる。

一方のSuica。
Suicaの発行数は、携帯端末で使えるモバイルSuicaを含め1億2000万枚を超える。

Suicaのシステムは、在京私鉄で発行するPASMO、JR西日本のICOCAなどへと普及し、全国相互利用サービスとして公共交通機関を利用する際に欠かすことができないツールとなっている。

2001年度に誕生したSuicaは、改札口を歩きながら通過できるという革命をもたらした。

その後Suicaは上限2万円でチャージできるためコンビニやレストランなどSuica加盟店で買い物ができるように進化していく。

ちなみに、発行されているSuicaすべてに上限2万円がチャージされているとした場合、2兆円以上のお金が、Suicaのシステムに一時的に預けられていることになる。
大きな金融機関とも言えなくもない。

そんなSuicaが、クレジットカードのタッチ決済に対抗するため、さらなる進化を遂げようとしている。

タッチさえ不要なウォークスルー改札の実証実験が進められているほか、これまで上限2万円だったチャージを最大30万円に引き上げるコード決済サービスを来年秋からスタートする。

また、26年度末をもってSuicaのキャラクターだったペンギンが卒業し、新たなイメージキャラクターが登場する見通しだが、Suicaを従来のものではなく全く新しい機能に進化させるというJR東日本の本気度を表しているのかもしれない。

フジテレビ
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社会部
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