クマによる被害が全国で相次いでいることを受け、11月13日から、警察官がライフル銃でクマを駆除することが可能になりました。東海地方でもクマ対策として、ドローンを使った”新たな作戦”が始まっています。

■嫌がる「犬の鳴き声」を…クマ対策にドローン投入

岐阜県飛騨市古川町で、14日から新たなクマ対策が始まりました。上空に飛び立ったのはドローンです。

(リポート)
「現在ドローンは500m先を飛行していますが、 犬の鳴き声が大きく鮮明に聞こえます」

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人里に近づいたクマを、ドローンのスピーカーから流れる犬の鳴き声で、山に追い払う作戦です。

飛騨市によりますと、今月9日午前8時ごろ、古川町下気多にある憶念寺の近くで、住民が成獣のクマ一頭を目撃したということです。

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クマを目撃した人:
「成獣で70〜80キロくらいのクマかな。腰ぬかす、びっくりする。ここまで住宅地に下りてくると心配やな」

ドローンが飛行した現場近くの果樹園には、去年もクマが出没していました。

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近くで果樹園を営む天木さん:
「リンゴがなっていたけど、クマが登って食べたから、収穫する前に全部なくなった。ずっと手入れしてきて、最後にこれ。悔しいだけです。(追い払い作戦は)今までやったことがないから分からないけど、効果があればいいなと思っている」

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ドローンからは、スピーカーでクマが嫌がる犬の鳴き声が響き渡ったほか、動物を追い払う花火の音も。今回のドローン投入の狙いについて、岐阜県の担当者は…。

岐阜県環境エネルギー生活部の担当者:
「どのように対策するのか、即時にできるものを検討した結果、ドローンを使った追い払いを実施しようと。他の地域でもクマの追い払いに成功している実例を見ておりまして、この地域にクマがいると分かっているので、どのような効果が得られるのか検証して、引き続き検討していきたいと考えています」

■増え続けるクマ…冬眠するのはいつ?

全国各地でクマ被害への対策は進んでいますが、実は岐阜県のクマの数は最近増え続けています。

岐阜県では、推定されるツキノワグマの個体数が2022年にはおよそ3700頭と、10年前と比較して1.5倍に増加しています。

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なぜ、これほど増えたのか。岐阜大学応用生物科学部の浅野玄教授によると…。

1.狩猟の数が減ったこと
2.人里にエサがあることを覚えたこと
3.過疎化・耕作放棄地が拡大しクマの生息範囲が広がっていること

などが影響しているのではないかということです。

昨今の被害や出没増加を考えると、クマの駆除など少し積極的な個体数抑制も必要だろうとも話しています。

クマがいつ冬眠に入って、いつまで警戒が必要なのかについても聞きました。

岐阜大学の浅野玄准教授:
「これ以上動き回ってもエサを取ることが難しいというフェーズに入ると、クマはこれ以上エサを探すのはやめて、冬眠に入る。クマが頻繁に目撃されるような地域では、12月いっぱいぐらいまでは引き続き警戒をしていただきたいと思います」

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浅野准教授によりますと、2025年のクマの冬眠時期は、例年と変わらないと予想されるということです。

岐阜県北部の飛騨・高山では11月末ごろには冬眠が始まりますが、岐阜県南部では12月末頃までクマの活動が予想されるため、自治体が公表している出没情報やクマ鈴などを生かして警戒が必要だとしています。

東海テレビ
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