11月に入り、朝晩冷え込みも厳しくなってきました。

この時期、メディアではよく「風速が1m/s強まるごとに体感温度が1℃下がる」とお伝えしますが、実際外にいるともっと寒く感じるときはありませんか?

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そこで、実際の体感温度はどれほどのものなのか、いろいろな場所で風速・気温・湿度を測って体感温度を計算してみました。(「ミスナール体感温度の改良版」を使用)

結果、特に気をつけたい、驚くほど体感が下がる市街地の“クールスポット”を発見しました。

「体感温度」とは?

体感温度とは、アメダスなどで観測された気温ではなく、実際に私たちが肌で感じる温度のことです。気温の他に湿度や風速によっても大きく変化すると言われています。

今回リサーチした場所

11月の日没後、雲が少なく、よく晴れた夜8時台に、以下の場所で計測を行いました。

(1)ビル街
(2)公園
(3)駐輪場
(4)住宅街の路地

このとき気象庁発表の気温は12℃台でしたが、それぞれ、かなり“寒い”数字が出ました。

(1)ビル街:マイナス7℃

ビルが立ち並ぶ場所で計測しました。

【アメダス】気温:12.9℃

【観測】気温:13.8℃、湿度:46%、風速:3.5m/s

●計算した体感温度:5.9℃

壁面にぶつかった風が、ビル間の狭い隙間を通り抜けて突風になり、凍えそうな寒さでした。1m/sごとに1℃どころではなく、風速の倍ほど体感温度が下がっていました。

(2)公園:マイナス3.1℃

細い木が並び、地面が舗装されている公園で計測しました。

【アメダス】気温:12.3℃

【観測】気温:11.9℃、湿度:52%、風速:0.7m/s

●計算した体感温度:9.2℃

公園では、ビル風が当たる場所に比べると寒さが和らいだ印象でした。体感温度はマイナス3.1℃。突風が吹きにくいためと考えられますが、こちらも風速以上の下がり具合でした。

(3)駐輪場:マイナス3.7℃

屋根と壁がある、屋外の小さな駐輪場の中央付近で測りました。

【アメダス】気温:12.3℃

【観測】気温:12.9℃、湿度:48%、風速:1.2m/s

●計算した体感温度:8.6℃

屋根や壁で囲まれているため少し暖かいことを期待しましたが、壁の隙間から冷たい風が吹きつけ、想像よりも寒い印象を受けました。体感温度はマイナス3.7℃。

(4)住宅街の路地:マイナス約3.4℃

住宅が立ち並ぶ路地の中で測定を行いました。

【アメダス】気温:12.9℃

【観測】気温:13.3℃、湿度:48%、風速:1.0m/s

●計算した体感温度:9.5℃

先ほどのビル群より建物の高さが低いこともあり、突風は吹きにくい環境でした。住宅からの光や熱によって、同じ建物群であっても、ビル群よりもはるかに寒さは和らいだように感じました。体感温度はマイナス3.4℃でした。

結論!ビル風にご注意を…!

様々な場所で測定を行った結果、突出して寒かったのはビル街でした。計算結果もそうですし、私の体感もそうでした。

これから冬型の気圧配置の日が多くなると、風が強まる日が多くなっていきます。予想されている最低気温やアメダスで観測された気温よりも、体感温度は大幅に低くなります。朝晩、ビル街を歩かれる方は特に、防寒対策を万全にお願いします。
【執筆:ウェザーマップ・宇田川れい】

フジテレビ気象センター
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最新の気象・防災情報や、「なぜそういったことが起こるのか?」現象の背景を徹底解説。フジテレビ気象センターに所属する気象予報士9人の他、日本気象協会、ウェザーマップとも連携し、天気を味方につけて毎日が楽しくなる情報や、つい誰かに話したくなるような情報などお届けします。