不自然に葉が枯れている街路樹が各地で確認されている。専門家によると、タイや中国などに生息する外来種のガ(蛾)「フウノキギンバネスガ」が葉を食い荒らしているのが原因。被害は西日本に広がっているという。
街路樹に異変…不自然に枯れている
佐賀・伊万里市の国道沿いでは毎年秋に街路樹の紅葉が街を彩る。その街路樹に今年は異変が起きている。
不自然に葉が枯れる街路樹が相次いでいるのだ。

紅葉シーズンに一体何が起きているのか…。現場に向かった。
伊万里市の国道498号線「松浦バイパス」沿いの街路樹。秋になると紅く色づくモミジバフウが約4.2キロに渡って植えられている。

街路樹の葉を見ると…
上の方だけ不自然に葉が枯れてしまっているもの、中にはほとんどの葉が枯れてしまっているものもあり、いつもの紅葉の景観が損なわれていた。

何が原因なのだろうか。
外来種のガ 幼虫が葉を食い荒らす
伊万里土木事務所の桒原隆治所長によると、「フウノキギンバネスガ」という“ガの幼虫”が葉を食べて枯らしているという。

この聞き慣れない「フウノキギンバネスガ」というガはタイや中国などに生息する外来種。
成虫になっても1センチほどの小さな白いガ。その幼虫がモミジバフウの葉を食い荒らしているという。

これはどのような虫なのか。被害状況などについて、ガなどを専門に研究している九州大学の屋宜助教に話を聞いた。

九州大学大学院農学研究院 屋宜禎央助教:
局所的にすごい被害を起こすこともあれば、その次の年はそこでは全然被害は無くて、少し離れたところでまたひどい被害を及ぼすような、移動しているかのような現象も確認されている。それがどういう基準で大量発生してしまうのかということは今後研究していかなければいけない点
九州だけでなく西日本に広がる被害
九州では2017年に、久留米方面、長崎の諫早、鹿児島でほぼ同時くらいのタイミングで、伊万里と同じような大きな被害が確認されたという。今では九州だけでなく、西日本で広く被害が確認されている。

屋宜助教によると、このガは4月ごろから見られるようになり、主に夏から秋にかけて数を増やし、卵を産みつけた場所を中心に幼虫による食害が起こるという。

伊万里土木事務所は9月上旬に被害を確認し、幼虫も発見。9月の下旬には薬剤を散布して対策を講じた。

被害が見つかった国道の街路樹では2年前にも同様の被害が確認されたが、今年はその時よりも被害が大きいという。

伊万里土木事務所 桒原隆治所長:
新しい種ということで、薬剤の効果についても今後、専門家の意見を聞きながら、より良い効果の出る対応を考えていきたい

このガ自体に毒性はなく、人への被害はほとんどないということだが、紅葉シーズンの景観への影響が心配される。
