連日クマの出没が相次ぐなか岩手県内の教育現場では、子どもたちの安全を守るための対応に追われています。
11月12日、実際に周辺で目撃情報があり、急きょ対応にあたった岩手県花巻市の小学校の事例を取材しました。

井上智晶アナウンサー
「花巻市の桜台小学校です。今まさに学区内でクマの目撃情報があり職員が対応に追われています」

全校児童562人の桜台小学校の周辺では、2025年、15件のクマの目撃情報があり、その度に対応に追われてきました。

12日の取材中にも市教育委員会からクマの目撃情報と下校時の対応について、連絡がありました。

桜台小学校 松村毅副校長
「今まさに来た。対象エリアも指定されて『通学路通らないでください』という指示」

12日は、午前8時過ぎ学校北側の通学路でクマらしきものを見たとの目撃情報があったため、教育委員会では普段、現場付近を通る児童について、下校時は、保護者に迎えに来てもらうよう指示していたのです。

桜台小学校は、JR東北本線と釜石線に挟まれ周辺は住宅も多い場所ですが、北側にある沢をたどるなどして出没するとみられています。

教員たちは急きょ、どの地区が送迎の対象になるか地図を広げて確認していました。

クマの出没により普段の業務に加えて、該当する家庭への連絡や問い合わせへの対応をしなければならず、教員の負担は増しています。

そして、子どもたちの学校生活にも影響を及ぼしています。

6年1組の担任
「クマが出たようなので学校の近くで。だから校庭で遊ぶことはできません。なので体育もできません。昼休みも控えてください」

6年1組では外で行う予定だった体育の授業が、子どもたちの安全を考えて国語の授業に変更されました。

6年生の児童からは「クマは怖いので命に関わるので急きょ変更になったのも仕方ない」「きょうは家の人が迎えに来てくれる。クマが来て危ないのでこういう対応がいいと思う」などの声が聞かれました。

できることにはすべて取り組もうと学校の校庭では、用務員が1時間に1回クマを遠ざけるための爆竹を鳴らしていました。

花巻市では市内の児童・生徒全員にクマよけの鈴が配布されています。

しかし、実際に出没があるとやはり送迎が必要となり、12日の下校時刻には、対象の地区に住む約100人の児童の保護者が迎えに来ました。

保護者
「(送迎は)何度もある。今まで今年に入ってから結構ある。早く冬眠してほしい」

市教育委員会では送迎が難しい家庭に対応するため、2024年度からタクシーやバスの費用を市で負担する措置を取っています。

2025年度は11月7日の時点で、すでに2024年度の255件を大幅に上回る943件の利用があり、市では12日予算に170万円あまり追加することを専決処分で決めました。

桜台小学校 松村毅副校長
「我々もそうだけど保護者の方も勤務中に対応しなきゃいけないのは、本当に大変な思いをしているので早く収まってほしい」

クマから子どもの安全を守るため教育現場では、学校と保護者一体となった取り組みが続いています。

岩手めんこいテレビ
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