JR仙台駅西口にある旧さくら野百貨店の跡地について、再開発を進めていた企業が現在の計画を断念したことが分かりました。専門家は仙台の商業都市としての魅力の低下が背景にあると分析します。

仙台駅前の顔として親しまれてきた旧さくら野百貨店仙台店。1946年に「丸光」として営業を始めましたが、業績の悪化を理由に2017年2月に閉店しました。

その後はドン・キホーテの運営会社、「パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス」が、再開発に向けた調整を進めてきましたが、複数の地権者との間で難航。

3年後の2020年に低層階に商業施設が入るオフィス棟とホテル棟2棟を建設する再開発計画が明らかになり、11月、ようやく解体工事が始まっていました。

記者リポート
「閉店から8年以上が経つなか、始まったビルの解体工事。再開発に向け動き出したかのように見えましたが、解体後の計画は白紙となりました」

現在の計画を断念した理由について、企業側は、建築費の高騰など総合的に判断したとしています。

街の人
「駅の良いところ(立地)なので、寂れていくっていう感じですよね」
「にぎわいをもっと早く取り戻してほしい」
「仙台駅を降りてすぐの場所で、何もないみたいなイメージが、観光客が来ても思われちゃうと思うので、商業施設とか盛り上げる場所が出来てほしいな」

この計画の断念について専門家は建築費の高騰のほかに多額の投資に対して収益の見通しが立たないことが背景にあると指摘します。

七十七リサーチ&コンサルティング 田口庸友首席エコノミスト
「人口減少が続いてるなか仙台商圏の魅力、ポテンシャルが落ちてきているといった中で、上がった建築コストを賄えるだけの収益が、そこで上げられるか、大変見極めが難しくなってきたということがあると思います」

また、今後の再開発への影響についても懸念を示します。

七十七リサーチ&コンサルティング 田口庸友首席エコノミスト
「やっぱり投資をできないには、それなりの理由があると思われた時に、投資をしようという投資家、あるいは事業者のマインドに影響してくる。そういう悪循環に陥る可能性があると思います」

一方、建物の解体工事は再来年6月末まで続けられ、企業側は次の再開発計画について「未定」としています。

仙台放送
仙台放送

宮城の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。