報酬「すでに増額」は2割
ハンターの報酬について尋ねたところ、回答があった136の市町村のうち、「既に報酬を増額した」のは約2割(19.1%)で、「今後増額を検討している」と回答したのは、約5割(49.2%)で、合わせると全体の約7割(68.3%)に上った。

「今後増額を検討している」と回答した67市町村のうちの大半は、具体的な引き上げ金額については「未定」と回答。
一方、福島・南会津町は、現在の日当9,000円を1,000円アップし、捕獲「報奨金」について、1万8,000円から1万2,000円引き上げ、3万円とすることを検討していると回答した。
国からの交付金、6割が「不足」
ハンターへの報酬の元となる国からの交付金について「不足している」または、「今後不足するとみられる」と答えた市町村は、6割(59.5%)に上った。

2024年に時給898円(最低賃金、当時)から1,500円に引き上げた青森・黒石市では、2022年以前は年間を通じてクマの目撃情報が10件前後だったため、低い報酬に設定していたという。
しかし、2023年にクマの目撃情報が増えたことで、ハンターへの負担が増え、ハンターなどから「あまりに報酬が低すぎる。燃料費や弾薬費の面で赤字が膨らんでいる」との窮状を聞き、引き上げに踏み切った。
担当者は「時給1,500円でもハンターの方にとっては、労力からみて(待遇が)不十分だ」。さらなる引き上げも検討しているものの、「小さな自治体となると、十分に予算があるわけではない」と苦悩を打ち明ける。

また、現在の国の交付金制度では、「時給もしくは日当、もしくは1頭あたりの報奨金のどちらかにしか交付金の補助がつかない」として、「両方に助成してほしい」と強調した。
要件緩和や〝報酬の基準統一〟求める声多数
アンケートでは、「国に交付金の増額を求める」と回答した自治体は、102で全体の75%に上った。国の交付金制度で示されている基準額(8,000円)以上の報酬を設定する市町村が多く、そうした自治体は個々の単独予算で、ハンターに支払っている実情も明らかになった。
「報奨金」などの交付金の基準額の大幅な引き上げの他、9市町村が「緊急銃猟を試みて発砲し、捕獲に至らなかったケースでも交付金の対象としてみなしてほしい」などと、見回りや出動した場合のみでも「報奨金」を支払えるよう要件の緩和を求める声が多かった。
このほか、「地域差のないように報酬金額について一律の基準を示してほしい」「自治体で対応が異なることから金額設定に苦慮している」「せめて上限~下限の目安は示してほしい」との要望の声が多かった。
(調査報道統括チーム 阿部桃子)
