FNNは11月12日までに東北6県の全227市町村に対し、クマを捕獲する猟友会のハンターへの「報奨金」や手当などに関する実態調査を行い、国に対して交付金の増額を求める市町村が75%に上ったことが明らかになった。約6割にあたる136市町村が回答した。

危険度と報酬の低さが課題…

政府は農作物や生活に影響を与える鳥獣被害を防ぐために、わなの設置やクマの捕獲を支援するための交付金制度「鳥獣被害防止総合対策交付金」(農水省)を設けている。

このなかでは、「捕獲活動」への支援として、クマ1頭あたり8,000円の支援額が定められている。

また、人の生活圏周辺での捕獲に対する支援などを定める「指定管理鳥獣対策事業」(環境省)でも、1頭あたりの支援額は定めていないものの、生態系の保全や絶滅防止の観点から「個体数管理」を行う主眼としての捕獲への交付金制度が存在する。

しかし、危険度にくらべた報酬の低さが課題となっていて、ハンター不足の一因にもなっている。

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政府が近くとりまとめる予定の経済対策では、この支援額が引き上げられる見通しとなっていて、鈴木農水相は4日に出演したBSフジ「プライムニュース」で、「(同交付金が)イノシシもクマもシカも一緒。いまのクマの状況をみれば、ハンターの危険度が違うので、お支払い金額を大幅にアップする」と明言していた。

自治体によって報酬額に大きな差

クマを捕獲するハンターへの報酬を巡っては、自治体によって金額に大きな差がある。

まず、「時給」や「日当」として手当する市町村と、クマを捕獲した場合に主に猟友会に対し「報奨金」を支払う市町村、その両方を支払う市町村に分かれた。

時給平均は1,350円で、日当平均は4,400円だった。

時給のみを支給する市町村の最低金額は、岩手県のある市町村で952円(最低賃金)、最高金額は山形県のある市町村で2,000円となった。

日当のみを支給する市町村は、金額にばらつきがあり、最低金額は1,500円、最高金額は8,200円。時給もしくは日当にくわえて、捕獲1頭あたりの「報奨金」を設けていると回答したのは、22市町村だった。

「報奨金」の分配の仕組みも様々だ。

例えば、福島・西郷村は日当1万5,000円にくわえて2万3,500円の「報奨金」をメンバーで分け、岩手・一戸町は時給1,500円にくわえ5万円の「報奨金」を猟友会に支給すると回答した。

また、「報奨金」のみを個人に支給する市町村(山形・西川町、1万円)もあれば、1チーム単位で支給する市町村(秋田・鹿角市、1万円)もあった。