三津浜に”新たな風”ー”古民家”を活用 にぎわい創出

「人がいることで家は生きてくる」

愛媛県松山市の玄関口として栄えた三津浜地区で、古民家を活用した新しい取り組みが注目を集めている。第二次世界大戦時の空襲を免れたこの地域には、築100年を超える古民家など、レトロな街並みが今も残っており、それらを生かした様々なスポットが次々と誕生している。

一度閉店した「鯛や」が復活

愛媛県松山市の玄関口として栄えた三津浜。第二次世界大戦で空襲を免れた地域で、築100年を超える古民家など、レトロな街並みが今なお残っている。そのひとつが国の有形文化財に登録された貴重な建物。のれんには「鯛メシ」の文字がある。

名護谷希慧アナウンサー:
「素敵なお座敷。広々としていて、奥にはお庭も。気持ちのいい空間です」

ここは、築90年ほどの古民家。かつてよろず問屋だった商屋で、客を招き入れて商談を行ったり、句会をしたりしていた部屋が店として生まれ変わっている。

古民家などレトロな街並みが今なお残っている
古民家などレトロな街並みが今なお残っている
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古民家は人がいることで生きてくる

鯛めし専門鯛や・木村知世店主:
「(外観の)上の方見ると緑の銅板があるんですよ。もともと空襲とか火災、防災のために張られてたんですけど、経年劣化で緑色に変わっているってところが、ほかのおうちとはまた違うところで、私も惹かれたところなんですけど」

建物のたたずまいに魅了されたという、店主の木村さん。実はこの店、今年3月に人手不足のため一旦閉店しましたが、わずか3カ月後にリニューアルオープン。木村さんが復活させた。

木村知世店主:
「人がいることで家は生きてくるので、残していきたいなって」

一旦閉店したが3カ月後にリニューアルオープン
一旦閉店したが3カ月後にリニューアルオープン

新たな「鯛や」でいただけるお料理とは

再び歴史を紡ぎ始めた鯛やでいただけるのが鯛づくしのこのお料理。
秋の鯛は、産卵を終えエサをたっぷり食べて、一年でもっとも脂がのった旬の味覚。鯛やでは、地元でとれた新鮮な鯛を使っていて、名物の鯛めしは、うろこや骨が入らないよう身を取り分けてから、風味濃く煮だした出汁とともに炊き上げている。

名護谷希慧アナウンサー:
「お出汁の風味がしっかり感じられて、鯛の身がふっくら。シンプルですがとっても食べ応えがあります」

木村知世店主:
「鯛やに来たくて愛媛にきましたって(言われる)すごくうれしい。若いのにがんばってるねって言ってもらったり。三津浜の人たちの仲間として、盛り上げていくことに貢献できてうれしい」

まさに鯛づくし
まさに鯛づくし

ひとつの建物に複数の店舗が入る「シェアショップ」

古民家の多い三津浜にはこんな場所もある。

名護谷希慧アナウンサー:
「こちらにも古民家がありました。ここは壁がブルーで、鮮やかで目を引きます。中に入っていくと、看板がありますが、お店の名前が5つ…」

ここは、ひとつの建物に複数の店舗が入る「シェアショップ」。古民家を改装して、店に貸し出すことで、まちににぎわいを創出しようと生まれた場所だ。

まちににぎわいを創出しようと生まれた場所
まちににぎわいを創出しようと生まれた場所

マスクをかぶった店主が手作りのシフォンケーキを販売する菓子店

その一室を訪ねてみると…

四国マスクさん:
「はーい、いらっしゃいませー」

名護谷希慧アナウンサー:
「え、なに、プロレス?」

四国マスクさん:
「いや、四国マスクといいます!お菓子を作っています」

名護谷希慧アナウンサー:
「え、ちょっと待って。情報量が多すぎて」

「四国マスク」と名乗るこの方は、週末限定で手作りのシフォンケーキを販売する菓子店。

名護谷希慧アナウンサー:
「どうしてマスクをかぶってるんですか?」

四国マスクさん:
「わたし1人でお菓子を作っていますので、みなさんに怖がられないように、マスクをかぶって販売しています」

名護谷希慧アナウンサー:
「怖がられないように?怖がられません?」

四国マスクさん:
「怖がられます・・・」

「いや、四国マスクといいます!お菓子を作っています」
「いや、四国マスクといいます!お菓子を作っています」

気軽に店に立ち寄ってほしくてかぶったマスク

子どもや女性にも気軽に店に立ち寄ってほしくてかぶったマスク。そこには、こんな思いもある。

四国マスクさん:
「この四国、うちの店名にもある四国を盛り上げたいという気持ちもあって。わたし管理栄養士の資格を持ってまして、からだの管理ができていない管理栄養士。食べることが好きで資格をとりました」

平日は、障がいのある子どもたちに職業支援として、パンやお菓子作りを教えているそう。卵や牛乳など四国産にこだわって、少し大きめに焼き上げた自慢の味をいただいた。

名護谷希慧アナウンサー:
「うん、しっとり。すごくもちもちした食感で食べ応えありますね」

四国マスクさん:
「米粉も入っているので、それでもちもちした食感に。愛媛、三津浜から四国を盛り上げていきたいと思っています」

少し大きめに焼き上げた自慢の味
少し大きめに焼き上げた自慢の味

アート教室「うみのひろばアテナミエール」

三津浜商店街で思いがけない出会いがあった。

名護谷アナウンサー:
「え!なにここかわいい、イラストがたくさんありますね、なんの場所なんでしょうここ」

三津駅からまっすぐに伸びる商店街に気になる場所を発見。

名護谷アナウンサー:
「外にすごくかわいいイラストがあって目を引いて入ってきたんですが、ここは?」

アテナミエール・たまいえりこさん
「ここは子どもも大人もアート活動ができるアトリエになっています」

1周年を迎えたアート教室「うみのひろばアテナミエール」。絵の具やビーズ、カラフルなモールに、地元の海で拾ったシーグラスまで工作の材料がずらり。

たまいえりこさん:
「こどもたちが自由にとっていって、自分が作りたいものを好きに作っている」。

好きな素材を使って自由に作る
好きな素材を使って自由に作る

アートを自由に楽しめる場所を作るのが念願だった

東京で図工の先生をしていたたまいさん。生まれ育った三津浜でアートを自由に楽しめる場所を作るのが、念願だったという。

たまいえりこさん:
「無心になれるこの瞬間とか、やりとげたときの達成感とか、アートでしか得られないうれしさとかあると思うので」

アートを楽しむこの空間、実はもともと店の向かいにある老舗衣料品店の空き店舗だった。

達成感やアートでしか得られない嬉しさを味わってほしい
達成感やアートでしか得られない嬉しさを味わってほしい

小学1年生の女の子が通う教室

夕方、学校を終えたこどもがやってきた。オープン当初から通う小学1年生。この日は、花の絵を書くことにしたよう。ひとたび鉛筆を持つとこの集中力。

たまいえりこさん:
「今ってネットとか情報を得ることは多いですが、インプットが多くてアウトプットが少ないかなと思うので、自分で無から作るっていうのを大事にしています」

女の子:
「お花とか動物とか書くのが好き」

たまいえりこさん:
「(三津浜は)制作することが好きな大人も子供も多いので、自由っていうのがまちじゅうに漂っているような気がします」

「自由」が漂う、三津浜。今なお残る古い建物の中には様々な新しさが生まれ、まちを元気にする力になっている。

まちを元気にする力になっている
まちを元気にする力になっている
テレビ愛媛
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