静岡市にオープンしたバスケットボールパーク。その場所はなんと百貨店の屋上だ。なぜここにコートを整備するに至ったのか?背景にはバスケをめぐる課題がある。
”手ぶら”でも楽しめる
静岡市中心部にあるデパートの屋上に誕生したバスケットボールパーク・roof。
固定式のゴール2基に加え可動式のゴール4基が備えられていて、手ぶらでも楽しめるようボールやシューズなどのレンタルも行っている。
静岡伊勢丹の秋野孝三 社長は「旧東海道がクランクする“札ノ辻”という歴史的にも意義がありにぎわいある場所なので、やはりその上に作ると利便性も良くなる。近くにタワーマンションもいっぱいできているので、そういったところの子供などがどんどん使ってくれるといい」と期待を寄せる。
バスケをめぐる環境は…
サッカーJ1・清水エスパルスやバスケットボールB2・ベルテックス静岡などが活動の拠点としている静岡市。
難波喬司 市長も「これから静岡はスポーツの力を活用した街づくりを、本腰をいれて進めていきたい」と意気込んでいる。
ただ、バスケットボールに関しては気軽に楽しめるような環境にないのが現状だ。
静岡市によると、市内にある公園は約500カ所。
このうちバスケットゴールが設置されているのはわずか4カ所だけで、うち3カ所は清水区と偏りが見られる。
また、利用時間にも制限があるほか、数少ない公園のバスケットゴールもネットは破れたままで、コートも特に整備されていない。
市には年に数件バスケットゴールの設置を求める要望が寄せられているが、公園建設管理課の森智絵 主査は「ドリブルの音など、騒音の苦情も多く近隣住民の理解を得た上で設置している。スポーツに特化した施設を設けていないので、バスケットゴールを作るというのが難しい状況になっている」と打ち明ける。
それどころか、公園の利用に関する苦情は年々増加していて、ボールを使った利用を制限する公園も増えているという。
バスケ以外の展開も
こうした中でオープンした静岡伊勢丹のバスケットボールパーク。
秋野社長は「これから学校の部活動もどんどん民間に移されていく中で、実際にやる場がないという話はいっぱい聞こえてきたので、こういうことをやっている」と話す。
利用できるのはデパートの営業時間内で、屋上という立地から騒音を気にする必要はない。
利用者からは「外で自由にできる場所がないのですごくありがたい」「仕事帰りや休みの日に手頃に運動不足解消できそうなのでとても嬉しい」といった声が聞かれ、秋野社長は「バスケのリングはあるが、ミニサッカーやることもあるだろうし、他のことをやることもあると思っている。スタートしてからいろんな使い方を模索したい」と今後の展開を思案している。
スポーツを通じて中心街に新たなにぎわいが生まれるのか注目されている。
(テレビ静岡)
