全国でクマの出没が相次ぎ、クマ鈴や撃退スプレーなどの対策グッズが注目されています。アウトドア用品店では品薄状態のところもあるようです。県内の販売状況を取材しました。


◆羅臼岳の事故を機にクマ対策グッズが注目

近年、クマが人が生活圏に出没するケースが増え、全国各地で目撃情報や被害が多発しています。
 
県内でも奥越を中心にクマの目撃情報が相次ぎ、10月には勝山市で市街地にクマ2頭が居座り、県内初の緊急銃猟が実施されました。クマへの警戒感は一層高まっています。

相次ぐクマの出没を受け、全国のアウトドア用品店では対策グッズの売れ行きが好調で、県内の店でも大きな影響が出ています。
  
アウトドア用品を販売する福井市の「THE GATE  MOUNTAIN」で販売状況を聞きました。
 
山本陸店長は「クマ対策グッズの売り上げは去年より伸びている状況。最も売れているのはクマ鈴」と話します。
  
こちらの店では現在、クマ鈴の在庫はほとんどありません。この夏、北海道・知床の羅臼岳で男性がヒグマに襲われ死亡した事故をきっかけにクマ対策グッズの売れ行きが一気に伸びたということです。

クマ鈴を含めたクマ対策グッズの売り上げは、ここ3年右肩上がりで、今年は去年の約2倍になる見込みです。
 
さらに、オンラインでの売り上げは去年と比べて約3倍となっています。
 
また、客の層もこれまでとは少し変わってきているといいます。「登山とかキャンプをしない方の問い合わせがある。今年はクマのニュースが多ので、問い合わせは増えてる印象がある」と山本店長。
 
全国的にクマ対策グッズの売れ行きが好調なこともあり、入荷の状況も不安定になっています。「クマ鈴やクマスプレーなどは、全国的に品薄な状況が続いている。クマ鈴も去年はあったものがなかったりする状況」とします。

◆品薄のクマ鈴に替わるグッズも

こうした中、店では鈴の替わりに滑落や迷子など登山中の緊急事態に使う「ホイッスル」もクマ対策として期待できるとしています。
 
山本店長は「ホイッスルは小さくて軽いが大きな音が鳴る」とし「クマ鈴より大きな音が鳴り動物に自分の存在を伝えられるので、最近おすすめしてるアイテム」と話します。

◆登山者の対策は―

それでは、クマと遭遇するリスクが高い登山者はどのような対策をしているのか、県内の山で聞きました。
 
登山者は― 
「クマ鈴とクマスプレーと、たまに火薬を持っている。まあ仕方ないです。クマが住んでいるところに行くので」
「クマよけホーン(音出し装置)。ババババンという猟銃の音や、ワンワンワンというイヌの鳴き声がする」
「最近クマスプレーを買いました。品切れになるかと思い早めに買いました」
 
登山者はクマとの遭遇を避けるために音の出る物の他、唐辛子成分の強い刺激物を噴射するクマ撃退スプレーも携帯していました。


◆品薄、入荷、欠品の繰り返し…

兵庫県に本社を構える登山・アウトドア用品店「好日山荘」の福井北四ツ居店では、このクマ撃退スプレーの売れ行きが好調で、去年の同時期と比べて2.5倍から3倍にものぼります。
 
笠松店長は「特にクマスプレーは品薄になっては少し入荷して、また品薄、欠品になっての繰り返し」と話します。
 
クマ対策グッズが品薄となる中、それに替わる対策は「ラジオや音楽プレイヤーなどを身につけて、音を出しながら人の存在をアピールするのが有効」。


クマの生態に詳しい石川県立大学の大井徹教授によりますと、人気がある場所によって来るクマは稀なので、クマ鈴やホイッスルなど高い音でより遠くまで音が届くものが効果的だそうです。
   
また、山の麓や緑地の近くなどに住んでいる人は、帰宅時に声を出したり手を叩いたりしてクマに対して人が近くにいることをアピールすることが良いということです。
 
これから紅葉の季節が本格化し、山などへ出かける機会も多くなります。クマによる被害を未然に防ぐためにも、事前の対策が重要です。

福井テレビ
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