長野県内最大級の商業施設「イオンモール須坂」がオープンしてから1カ月がたった。多くの買い物客でにぎわい、イオン側は「目標以上の来場」があるという。一方、長野市内の商店会は、長野駅前の人出は「少なくなっている」という。商圏にはどんな影響が出ているのか、取材した。
「きょう平日だよね?」多くの買い物客
10月3日にオープンした須坂市のイオンモール須坂。平日だった10月29日も午前中から多くの買い物客が訪れていた。
長野市・30代(4回目の来店):
「長野市とか近くの店に入ってないような、遠出しないと出会えないようなお店が多く入っていて、1回来ちゃうとがーっと全部巡って必要なものをそろえて買えるっていう感じ」
地上4階建てで店舗面積はイオンモール松本を3割ほど上回る約6万3000平方メートルと県内最大級。
約170の専門店のうち、県内初出店が58店舗に上る。
オープンの時に、ひときわ長い列ができていたのが、県内初出店のドーナツ店「Trineeds DONUT」。ふんわり、もちもちの食感のドーナツが人気。
10月29日も開店前から行列ができ、待ち時間は1時間を超えていた。
上田市・70代(初来店):
「買うまでで1時間半かな。思わずきょう来た時に(人が多くて)『きょう平日だよね?』って」と驚いていた。
多くの専門店がそろっていることは大きな魅力となっているようだ。
2回目の来店という飯綱町の70代は「出かけるところないし、東急ライフも閉店しちゃったし、いいんじゃないですか、気晴らしに。一回りするだけでリフレッシュできるし」と話した。
初来店という飯綱町の70代は「ここに来ればなんでもそろってますもんね。1日じゃ回れないから、いっぱい回ろうと思うから、ご飯食べた後どれだけ回れるか」と述べた。
小さな子どもがいる家族連れにも、根強い人気がある。
中野市・20代(3回目の来店):
「子どもの遊び場が充実しているので、小さい子を連れてくるにはありがたく、よく来る。大人も楽しめるし、子どもも楽しめるのが良い」と話した。
須坂市・30代(3回目の来店):
「買い物の合間にちょこっと子どもを遊ばせられる場所があって助かってます。遊ぶ場所の選択肢が増えたりとか、日曜日に遊ぶ場所ができたのは大きい」と話した。
イオンモール「目標以上の来場」
北信地域だけでなく、周辺の地域からも多くの人が訪れていた。
新潟県上越市・70代(初来店):
「上越です。東京に行かないと買えないお菓子とかあったから良かった。須坂は、来ないかな、初めて来た。いろんなお店が入っているので、ここでなんでも見られるかなと」
上田市・70代(初来店):
「インターの近くというのもあるし(上田からも)多分来ているでしょう」
イオンモールは、ここ1カ月の来場者数を公表していないが、目標に掲げる来場者数年間750万人から800万人に向けては、「目標以上の来場がある」という。
周辺の自治体と連携しながら地域の「ハブ」としての役割を果たしたいとしている。
イオンモール須坂・岡本隆之ゼネラルマネージャー:
「週末は長野県全域、新潟県など広域からも来館を非常にいただいている実感がある。買い物だけでなく、食事やそれ以外のエンタメ要素などが支持をいただいていると思う。地域の事業者、観光のPRとかを今後さらに連携していくことによって波及効果は出てくるのでは」
須坂駅前「活気が戻れば」期待も
北信地域だけでなく周辺地域からも多くの客を引き付けるイオンモール須坂。商圏への影響はどうなのだろうか。
須坂市民は「今は駅前はちんやりしているが、(イオンモール須坂が)できたことで活気が戻れば」と話した。
こちらは、須坂駅から徒歩5分ほどの場所にあるイタリア料理店「kitchen&bar SABO」。
こだわりのパスタに、定番のピザ。具だくさんのサラダなどが人気で、女性客が大半を占める。これまで土日のランチタイムは予約で満席となることが多かったものの、10月からは空席が目立つようになったと言う。
kitchen&bar SABO・岸暉さんは「ランチの客が減ったかなというところがあり、皆さんイオンモール須坂に行かれているのかなと影響を感じている。体感でいうと、(ランチの)予約の件数は1割、2割減っているかなと」と話した。
今のところ「影響は大きい」としているが、イオンモールからの帰りに来店する客もいるという。
岸さんは「イオンモール須坂目当てで、こちらに足を延ばしてくれる客もいると思うので、期待している。(市全体で)一緒に盛り上がっていきたい」と今後に期待を寄せている。
長野駅前の人出「減っている」
一方、長野商店会連合会の柳沢武彦副会長は、イオンモールのオープン後、土日や連休の長野駅前の人出が減っていると感じている。「家族連れが長野駅前、少なくなっている印象ですし、いつもの連休とは雰囲気が違う。長期でこの状況が続くと、私たちにも影響が大きくなると思う」と述べた。
その上で、連合会として、イオンモールの客に長野市街地を回遊してもらう策を考える必要があるとしている。
柳沢副会長は「長野駅の方にも回遊できる策を具体的にこれから詰めていくことが大事だし、行政とも密にしながら持続可能な対策を取り組んでいければ」と語った。
