今月13日に閉幕した大阪・関西万博。会期中、取り組みが評価されて出展した富山県の企業があります。

紹介されたのは「服の鉛筆」。環境問題にも取り組む小矢部の企業を取材しました。

服を作る際に出る裁断くずから生まれた「服の鉛筆」。

裁断くずを燃やしてできた繊維炭と呼ばれる炭を混ぜて鉛筆の芯にしたもので、黒色が濃く、テカらないのが特徴です。

この鉛筆を開発したのは小矢部市にある縫製会社「ミヤモリ」です。

スポーツウエアや学校の体操服などを製造しています。

*ミヤモリ 宮森穂社長
「裁断をして裁断片として残る。これが鉛筆の芯の材料になる」

この製造過程で年間約20トンの裁断くずが発生するものの、これまで廃棄するしかなく、その利用価値が見いだせていませんでした。

そんな中、若手社員のアイデアをきっかけに2年半の歳月をかけて裁断くずを繊維炭にし鉛筆の芯に活用する「服の鉛筆」が誕生しました。

*ミヤモリ 宮森穂社長
「アパレル産業は世界第2位の環境汚染産業。そこをなんとか改善したい。服の鉛筆から我々の思いがちょっとずつアピールできて、皆さんの心に刺さっているかなと思う」

服の鉛筆はおととし、日本文具大賞のサスティナブル部門で優秀賞を受賞したほか、今月、大阪・関西万博で特許庁が主催する展示イベントにも参加。

知的財産を活用して社会課題を解決する19の団体や企業の1つとしてブースを出しました。

ミヤモリは服の鉛筆と布の端材で作ったドレスを展示し、アパレルの可能性を世界に発信しました。

*ミヤモリ 宮森穂社長
「(お客さんから)驚きの声が多かった。富山からの客もいて(出展に)ビックリされてうれしかった」

さらに去年12月に小矢部市のアウトレットに洋服の修繕やリメイクを提案する店を出店。

「服を育てる」をテーマに服に新しい命や物語を与え、捨てるという概念を変えていこうという活動を始めています。

*ミヤモリ 宮森穂社長
「意外な驚きを楽しんでもらうのと捨てるものからのアップサイクル商品で地球温暖化に対して小さいことでもできることを子どもたちと一緒に学んでいきたい」

ミヤモリでは小矢部市内の小学校で服の鉛筆の出前授業をして、環境の大切さを伝えているほか、芯にも使われている繊維炭の新たな活用の研究も進めているということです。

服の鉛筆はオンラインショップから購入可能です。

富山テレビ
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